第12回 水木十五堂賞 受賞者の紹介
受賞者紹介
さとう みつのぶ
佐藤 光信
1935年 福岡県久留米市生まれ
1958年 リッカーミシン株式会社に入社(同社長平木信二の美術品の収集管理を行う)
1971年 同社を退社し、財団法人平木浮世絵財団の設立に携わる
1972年 東京都中央区銀座にリッカー美術館を開館
1989年 リッカー美術館(後に平木浮世絵美術館と改称)館長就任
2017年 公益財団法人平木浮世絵財団 理事長に就任
世界的に知られる平木コレクションの保存および公開と、浮世絵の調査、研究を目的とする平木浮世絵財団の設立に携わり、事業活動を主導して行う。日本初となる浮世絵版画専門美術館(リッカー美術館、後に平木浮世絵美術館に改称)を開設し、数多くの浮世絵展を開催してきた。またドイツやアメリカでも展覧会を開催したほかに、海外に所蔵される浮世絵(シカゴ美術館、ホノルル美術館、ベルリン国立博物館などのコレクション)を日本に里帰りさせている。ポーランドのクラクフ国立博物館、ロシアのエルミタージュ美術館、プーシキン美術館などに秘蔵されていた浮世絵の調査も行った。
選考理由
長年にわたって浮世絵の収集と研究に携わり、その浮世絵収集は、内容の充実さによって、高い評価を得、黄雀文庫という名のもとに収蔵・管理されており、筆彩色の初期版画の稀品、錦絵創生前後、浮世絵の黄金時代である天明・寛政期から、明治に至るまで浮世絵の歴史を通覧できる優れたコレクションである。鈴木春信、二代歌川豊国、歌川国貞、歌川国芳などその作品群は多彩であり、また、安政2年(1855)の安政江戸大地震をきっかけに、地震の元凶である鯰をモチーフとした「鯰絵」のコレクションは、国内屈指の量と質を誇るものである。
佐藤 光信 氏 受賞コメント
水木十五堂賞を授与下さり光栄に存じます。平木浮世絵財団の設立から五十余年、長きにわたって浮世絵に関わる仕事ができた喜びを感じています。
世界的に知られる平木コレクションを収集した平木信二の遺志を受け継ぎ、数多くの展覧会を開催し、浮世絵や江戸文化の周知に努めてまいりました。その活動の中で、私自身の浮世絵への愛着から収集を始め、いつの間にかコレクションと呼べるような量となりました。今後も収集を続け、浮世絵研究の発展に貢献できるようにしたいと考えています。
私の収集活動を評価していただき、ご推挙いただきました選考委員会の皆様、大和郡山市の皆様に深く感謝申し上げます。
主な蒐集品
黄雀文庫コレクション
平木浮世絵財団の事業活動を続ける中で自身でも収集に努めた結果、浮世絵版画だけでなく、宝船や絵地図などの版画資料、近代の新版画や創作版画まで幅広く網羅したコレクションが形成された。それに加えて、研究書、雑誌、画集、展覧会カタログなど、浮世絵の研究に重要な資料の充実も特筆される。「黄雀文庫」の名は、祖父佐藤貞次郎の雅号「黄雀」に由来する。
江戸から明治にかけての浮世絵版画・版本等約3000点、近代の創作版画等約1000点、浮世絵関係の画集、研究書、雑誌、図録など約3000点

葛飾北斎「諸国滝廻り ⽊曽海道⼩野ノ瀑布」

喜多川歌麿「⽟屋内 若梅」

鯰絵
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更新日:2023年11月30日