令和4年12月 『奈良公園にあった県立図書館』

更新日:2022年12月01日

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市長てくてく城下町タイトル
上田清

大和郡山市長

郡山城天守台の東に優美な姿を見せる明治建築は、奈良公園で県立図書館として広く親しまれた建物が昭和45(1970)年に移築されたもので、「市民会館」として、平成18年には公募で谷口進さんの「城址会館」が採用され今日に至っています。
移築前の県立図書館は、明治41(1908)年10月に日露戦争戦(せん)捷(しよう)(戦勝に同じ)記念として建てられたものですが、奈良県公園整備計画により取り壊しの方針が出されたのに対し大和郡山市がこれを譲り受け、3500万円を投じて郡山城跡内に移築、保存することになったのです。
木造の2階建てで、力学的に「三角形が強い」ことを利用した「木造トラス」という構造で、明治以降に導入された工法だそうです。
東京都千代田区北の丸公園にある東京国立近代美術館分室(旧工芸館)は、明治43年に竣工した旧近衛師団司令部の建物で、城址会館とは規模が違うものの、入り口から入ると正面に階段があり、2階で両側に分かれる構造が両方ともそっくりなことに驚いたことがあります。
貴重な明治建築であることには間違いなく、休日には一般公開していますが、ボランティアで案内していただいている方によると、正倉院展の後お越しになる人や、時には海外からも見学に来られることがあるとか。
昭和59年3月29日には市指定文化財に、平成9年3月21日には県指定文化財になっています。
近年は学科指導教室「ASU」が設置され、不登校の子どもたちの学びの場として、心のよりどころとなってきましたが、耐震上の問題もあり来春移転することになりました。
今や郡山城跡になくてはならない存在となった城址会館の保存と活用は、これからの大きな課題だと考えています。