市彫15 木造阿弥陀如来立像(実相寺)

更新日:2025年04月21日

ページID 16218

木造阿弥陀如来立像(もくぞうあみだにょらいりゅうぞう)

木造阿弥陀如来立像

実相寺の本尊阿弥陀三尊の中尊阿弥陀如来立像で、両手第一・二指先を合せて来迎印(らいごういん)を結び、両足先を開いて踏割蓮華座(ふみわりれんげざ)に立ちます。
頭・体部の均斉がとれ、なで肩で、来迎印の手をゆったりと構える姿は優雅であり、肩幅に比べて体奥の浅い体形は平安後期の特徴を示しています。すなわち、顎を前に出して、背中を丸くつくり、猫背気味の姿勢をとるものの、胸・腹部の肉取りは抑揚を控えてゆるやかな曲面をなし、膨らんだ腹部を前に出して、むしろ姿勢を正すような表現です。椀を伏せたような、高く大きな肉髻や、引き締まった地髪部の膨らみ、整った目鼻立ち、伏した眼の穏やかな表情なども併せ考えると、本像は、平安後期彫刻の典型とされる、いわゆる定朝(じょうちょう)様式に学んだ仏像であると考えられます。衣文は、肉身の起伏にしたがって平行曲線を連ねるように流れ、その浅い彫り口や薄い布の質感表現は、定朝様式の優美・繊細な造形感覚を継承するものです。
以上に述べた本像の特徴は、いまだ平安末期の様式には至らず、むしろ、いわゆる定朝様式の洗練化された表現を素直に学んだ一作として捉えられ、製作は平安後期の中でも十二世紀半ばを降らぬ頃と推定されます。
平安後期における、いわゆる定朝様阿弥陀の広がりについて、大和郡山市内の実態はまだ分からないことが多いものの、本像は三尺立像の定朝様阿弥陀の優品として貴重であり、大和郡山城下の寺院に伝来する平安古仏としても注目すべきものです。

拝観を希望される場合は実相寺(0743‐52‐2752)にお問合せください。
 

この記事に関するお問い合わせ先

まちづくり戦略課 文化財保存活用係

郵便番号:639-1198
大和郡山市北郡山町248-4
電話:0743-53-1151(内線733)
ファックス:0743-53-1049

メールフォームによるお問い合わせ