市彫13 木造阿弥陀如来立像(西方寺)
木造阿弥陀如来立像(もくぞうあみだにょらいりゅうぞう)
西方寺本堂の本尊阿弥陀三尊の中尊で、両手第一、二指を捻ずる(来迎印)阿弥陀如来立像です(現状、両手首より先は後補)。
三尺阿弥陀像の通例の木寄せ法を示しており、頭体の幹部は大略、檜の一材を前後割矧ぎ・内刳り・割首とし、袖先を含む両体側に各一材、両袖内側に各小一材を寄せる構造になります。技法的に注目されるのは漆箔仕上げの下地であり、近世施工の泥地(胡粉等に膠を混ぜたもの)漆箔の剥落箇所に、当初の錆下地(土粉等に漆を混ぜたもの)を残す点が特筆されます。
本像の表現をみると、頭部が小さく、下半身が長い身体比率に特色があります。また螺髪が小粒で、地髪部がやや膨らむ髪型、眼尻の吊り上がった端正な顔つき、着衣の皺数が多く、先端を鋭角的に処理する両袖の衣文や、風に揺らぐ袖口の表現など、総じて鎌倉時代の特色が顕著です。一方、正面観では平行曲線を重ねる衣褶の表現、側面では体奥が浅い量感、ゆるやかな抑揚をつくる胸・腹部の肉取りなどに、前代・平安末期の旧様が継承されている点に注意されます。
総じて本像は、鎌倉時代の優れた造形感覚を示す新様式と、前代の旧様式とが巧みに調和して表現されているところに特徴があり、製作は鎌倉前期、十三世紀前半を降らぬ頃の作と推定されます。伝来不詳で、損傷や後補箇所が若干指摘されるものの、大和郡山城下に伝来する数少ない鎌倉彫刻の優品として貴重です。
本像は、原則非公開となっています。
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更新日:2024年12月23日