市彫12 木造聖観音菩薩立像(新福寺)

更新日:2024年12月23日

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木造聖観音菩薩立像(もくぞうしょうかんのんぼさつりゅうぞう)

木造聖観音菩薩立像

大和郡山市内の西方、小林町にある新福寺の本尊聖観音立像です。左手に未敷蓮華を執り、右手は第一・二指頭を合わせ、他指を伸ばし、左手の未敷蓮華に添える形姿です。
像は檜の一材から彫成し、前後割矧ぎ・内刳りとし、さらに頸を割放つ構造で、これに両肩、臂、手首および足先を矧いでいます。このような彫刻技法は平安時代後期の三尺余りの立像の木彫仏に通例のものです。
髻は本来、丈の低い垂髻であったとみられ、腰高で、右に腰を捻り、腕をゆったりと構えて立つ姿は均斉がとれており、左足をわずかに前に出して立つ姿も微妙な動きを示し、ともに平安後期の優美・繊細な趣を伝えています。体奥も浅く、胸・腹部の肉取りはなだらかで、背中から臀部にいたる抑揚も控えめで、穏やかな量感表現を示しています。伏した眼、小さな鼻、丸い頬などの目鼻立ちも平安後期の温和な表現の特色が顕著です。天衣や裙は、衣褶を浅く彫刻し、やや線状的に流れる傾向を表すものの、薄い衣の質感は見事です。
総じて製作は平安時代後期、十二世紀半ばから後半の頃とみるのが穏当と思われ、当代の温和で、優雅な作風を表した奈良地方の一作として注目すべきものです。また、市内に伝わる三尺余り(一メートル前後)の大きさの平安古仏としても貴重です。

通常お寺は閉まっています。拝観を希望する場合は、新福寺にお問い合わせください。
 

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