木造吉祥天立像(金剛山寺)

更新日:2022年04月20日

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木造吉祥天立像(もくぞうきっしょうてんりゅうぞう)

木造吉祥天立像

本像は金剛山寺本堂の厨子内に本尊である地蔵菩薩像(平安時代・重要文化財)、十一面観音像(奈良時代・重要文化財)とともに安置される仏像で、中尊に向かって左側に安置され、「矢田地蔵三尊」を構成しています。

像の高さが189センチメートルある寄木造りの立像で、左手に如意宝珠を乗せ、右手は垂下して与願印風に五指を伸ばしています。肉取りの抑揚が控えめながらも、厚みがあって安定感のある姿態を表しています。頭に檜、体躯に松、天衣に桜の3種の材を用いて造られていますが、松材を用いる点は珍しく、本堂の建築部材と同様に境内の松林から調達したのかもしれません。

像の内部に記された墨書から、永禄六(1563)年に守栄(しゅえい)を本願主として仏師源次(げんじ)等によって製作されたことがわかります。源次は室町時代に奈良の宿院町を拠点として活躍した宿院仏師の棟梁で、安定感のある姿態の表現や手慣れた衣の彫り口、つり上がった眼や太い鼻梁と癖のある小鼻といった個性的な目鼻立ちなどは、源次工房による後半期の作品の特徴をよく示しており、市内の室町時代在銘彫刻の中でも注目すべきものです。

また、中世以降に隆盛する矢田地蔵信仰の歴史においても、本尊地蔵三尊が成立する過程を考える上で極めて重要な作品です。

例年は6月1日から6月30日が特別拝観期間となっています。

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