まちかどレポート409

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

古代の人や戦国時代の人々の「魂と肉体への想い」とは(平成27年6月25日掲載)

(まちかどレポーター 丸山)

手のひらを上に向けた阿弥陀三尊像の手元のアップの写真
手を合わせた阿弥陀三尊像の手元のアップの写真

前回のまちかどレポート

千體寺鑑賞の続きです。
お厨子の中の阿弥陀三尊像をよく見ると、脇侍の2菩薩のしぐさが特徴的です。少し説明します。観音菩薩は像高53.4センチメートル、勢至菩薩は55.6センチメートル。材質はいずれもヒノキの寄木造り、金泥、彩色、玉眼、裁金文様の仕上げです。観音菩薩は少し腰を屈め、わずかに右足を踏み出して、左手のひらを上に向け、右手をそっと添えるように見えます。蓮台(ハスのうてな)を持っていたそうです(現在、蓮台は喪失)。
蓮台には何が乗っていたのでしょうか?その答えは、肉体を離れた魂なのです。
観音菩薩によって拾われた魂は、勢至菩薩によって供養され来世で救済されるそうです。

時代を遡って万葉時代、古代の人々も魂と肉体の分離(二元論です)を信じていました。万葉集にこんな歌があります。
「信濃なる 千曲の川の 細石も 君し踏みてば 玉と拾はむ(巻14-3400)」
人間の霊魂(魂、命)は物に触れるといくらでも広がっていくという意味合いです。
仏像をじっくりと観ていると、古代の人々や戦国時代の人達の生死感も思い浮かび、楽しく鑑賞することが出来ます。時間があれば、みなさんもじっくりと鑑賞されることをお勧めします。