令和8年5月 『阿礼祭』と『日本童話祭』


大和郡山市長
大きな堀に囲まれた、いわゆる環濠集落・稗田の地に社がある賣太神社の主祭神、稗田阿礼は『古事記』の編さんに携わったとされ、その序文には「聡明な人で、目にしたものは即座に言葉にすることができ、耳にしたことは心に留めて忘れることがなかった」ため、天武天皇が古くからの物語を阿礼に学ばせ、覚えさせたといいます。 そのことから、阿礼は「記憶の神様」や「お話の神様」として親しまれてきました。
一方、児童文学者として活躍し、童謡「夕やけ小やけ」の作詞でも有名な久留島武彦(1874~1960)は、ボーイスカウト運動の基礎を作った人でもあり、その関連で訪れたデンマークで同国が生んだアンデルセンの復権を訴え、感動した現地の人々から「日本のアンデルセン」と呼ばれました。
その久留島武彦が、アンデルセンと並ぶ「お話の神様」は稗田阿礼だとして、全国の童話家に呼びかけ、昭和5年8月16日から始まったのが『阿礼祭』で、100年近い歴史を誇っています。終戦の翌日、昭和20年8月16日にも開催されたことは特筆に値するでしょう。
祭の当日は稗田舞や、地元の子どもたちによる阿礼様音頭などが奉納された後、童話の読み聞かせなども行われます。そんなこともあって夏休み、お盆の時期が選ばれたのではないでしょうか。 回を重ねてきた阿礼祭も、昨今の猛暑には耐えきれず、関係者の皆様が熟慮された結果、昨年から5月5日に変更されることになりました。
まさしく「子どもの日」。
祭の趣旨にぴったりだと思うのですが実はこの日、久留島武彦の出身地大分県玖珠町では『日本童話祭』が開催されています。昭和25年から続く祭で、赤鯉(35m)や黒鯉(60m)のくぐり抜けとともに、大空を泳ぐ青鯉(55m)のもと、人形劇や紙芝居などが行われ、多くの子どもたちで大変にぎわうようです。
今年は第97回阿礼祭と第77回日本童話祭。 あらためてこのご縁を大切にしたいものです。

更新日:2026年05月01日