令和3年2月 日本の伝統文化「根付(ねつけ)」~第9回水木十五堂賞に寄せて~

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町タイトル
上田清

大和郡山市長

幕末の新選組で有名な京都壬生(みぶ)に、立派な武家屋敷を修復し、平成19年に開館した「京都清(せい)宗(しゆう)根付館」があります。
根付というのは江戸時代、印(いん)籠(ろう)や煙草(たばこ)入れなどの提(さ)げ物(もの)を携帯する際、それをひもで帯に通した後、もう一方の先に取り付けて留めるために発明された小さな道具で、象牙や鹿の角、陶磁器や木、金属などに繊細でみごとな彫刻が施されています。日本人特有の器用さで生まれた、世界に誇る伝統工芸、芸術、文化ではないでしょうか。
根付館の創設者で館長の木下宗(むね)昭(あき)さんは、この根付に魅了され、これまでに5千点以上を集めるとともに、わが国の大切な文化でありながら外国に流出してしまっていた根付の買い戻しや、現代の根付作家の育成にも力を注いでおられることが高く評価され、第9回水木十五堂賞をお受けいただくことになりました。
誠におめでとうございます。
せっかくの機会ですので、先日、清宗根付館に初めてお伺いしたのですが、江戸時代から現代に至るあらゆる種類の根付に圧倒されました。
根付は、おおらかな作風の京都派と粋と洒(しや)落(れ)の心を重んじた江戸派の両輪で花開いたそうです。
その古典根付にはユーモアやウイット、遊び心に満ちた作品や、それぞれの時代や生活を鋭く切り取った作品も数多くあったのですが、現代根付にもアマビエやコロナ封じなど今の人々の思いをテーマとするものがあり、伝統文化の精神が脈々と受け継がれていることに感動しました。
今回は時節柄、式典などは行わず受賞記念展示会を令和3年1月28日(木曜日)から2月4日(木曜日)まで、DMG MORIやまと郡山城ホールで開催する予定です。