平成30年8月 スズムシの放虫式~市長てくてく城下町

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 市内新庄町鉾立にある「業平(なりひら)姿見の井戸」は、平安時代初期の歌人在原業平(ありわらのなりひら)が、そのころ住んでいた天理櫟本から恋人が住む河内高安に通う途中、わが身を映したという伝説が残る井戸ですが、櫟本から高安まではおよそ35キロメートルもある上、生駒の山を越えなければならず、しかも夜、仮に馬を使ったとしても、危険をともなう大変な道のりだったのではないでしょうか。
 井戸のそばには、危険をかえりみず河内まで通う業平の姿を詠んだ与謝蕪村の句碑があります。
 蟲(むし)鳴くや 河内通ひの 小提(ちょう)燈(ちん)
 ここに登場する「蟲」は「虫」とは異なる意味でしたが、「蟲」は画数が多いため「虫」が略語として使われるようになったとか。
 で、その意味はというと「蟲」は昆虫やねずみなどの小動物を含む生き物全般で、特にムカデやイモムシなどのは虫類を意味しました。
 一方「虫」はヘビやマムシの姿をかたどった象形文字で、特に毒を持つヘビを指しています。
 しかしその後ヘビには「蛇」という漢字が作られ、「蟲」の本来の意味も「虫」と混同されるようになりますが、句碑の「蟲」は私たちが普通に接する「虫」と考えればいいのだと思います。
 さて、まだまだ暑い夏が続いていますが、暦の上ではもうすぐ立秋。本格的な秋を迎えるにあたってこの度、和歌山県の有田川町から郡山城跡にスズムシを寄贈いただくことになりました。
 有田川町では下水処理施設内の敷地でスズムシの繁殖を行っていて、昨年の和歌山城に続いての放虫ですが、いずれの城も築城主は豊臣秀長で、何とも不思議なご縁です。本市の観光PR大使で有田川町観光大使の山口智世さんのお力添えもいただき感謝申し上げます。
 放虫式は平成30年8月28(火曜日)15時から。
 去年は1万匹だったそうですが、今年の成長は?楽しみです。どうぞお出かけください。