平成27年12月 まちかどのお地蔵さん~市長てくてく城下町

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 亡くなって四半世紀が経ってもファンを魅了してやまない池波正太郎の小説を読むと、登場人物たちがとにかく歩くこと、歩くこと。しかも、舗装などあるはずもない当時、雨が降れば地道はたちまちぬかるみになり人々が難儀する姿がリアルです。それでも人は歩き、人を訪ね、なりわいをしながら懸命に生きました。
 もちろん時代は変わり、私たちには地球規模に広がる移動の自由があります。
 そんな現代にあっても歩くということは人間の原点ではないかと思いながら散歩中にふと思いついたのが、無理しなくても1日3,000歩を続ければ1年で100万歩になるじゃないかというちょっとした発見でした。
 そのことがきっかけとなって誕生した『すこやか100万歩手帳』はすっかり定着し、中には10冊制覇しました、もうすぐ20冊目ですなどという「猛者」も現れていますが、市制施行60周年の昨年、手帳はリニューアルされ何歩歩けば全国のどこに到達するかを示す地図が加わりました。
 たとえば、本市から東へ100万歩歩けばどこまで行けるか?…正解は何と福島県の郡山市!
 まさに、塵も積もれば、ですね。
 一方、車とは異なる目線で道を行くと、町並みの小さな変化に気づいたり、新しいお店を発見したりして嬉しくなってしまいます。そうした感動を共有するためにもバリアフリーのまちづくりはとても大切だと思うのです。
 あるお年寄りの言葉が印象に残っています。
 「あのお地蔵さんは誰よりも長くこの町を見守ってくれているんだ。だから大切にしなくては。」