平成24年6月 大和小泉の庚申さん~市長てくてく城下町

更新日:2021年03月19日

ページID 10054
市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 人間の体の中には3匹の虫がいて、60日ごとにめぐってくる庚申(かのえさる)の日には、人が熟睡している間に天に昇り、帝釈天(たいしやくてん)に悪行を伝え、その人の命までも縮めてしまう…。およそ1300年前に伝わったとされる庚申(こうしん)信仰です。
 それなら寝ないで、みんなと過ごすしかない。
 3匹の虫は味噌を嫌うので、人々はこんにゃくの田楽などを食べ、酒を酌み交わしながら、語り合い、夜明けを迎えるようになりました。
 大和小泉にある「金輪院庚申堂」は江戸時代の初め、小泉藩2代目の藩主片桐貞昌のときに創建されたそうですが、『一国一宇』、つまり大和国に一つしかない、庚申さんの中心とされました。
 門前市も盛んで、毎年、初庚申の日には参道に農機具を販売する店が続き、大いににぎわったといいます。昔懐かしい戸板の上に品を並べて売ったという話もお聞きしました。
 そんな歴史のある大和小泉の庚申さんも、戦後廃れてしまいますが、地元の方々の熱意により、平成17年の秋、ついに復活されたのです。
 この信仰の本尊、顔の色が青い「青面金剛(しょうめんこんごう)」は、白い蛇に命じ、猿を使いとして走らせ、人々を守ってくれるのですが、お猿さんはちっともじっとしていないので「くくり猿」となりました。
 お堂にいっぱいぶら下がる赤い「くくり猿」は奈良町の「身代わり猿」とは、歴史も由来も少し違うようです。
 6月以降の庚申さんは、6月28日、8月27日、10月26日、12月25日の4日。この行事、地域でともに生きる知恵だったのではないでしょうか。