平成23年11月22日 オロチ

更新日:2021年03月19日

ページID 10061
市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 11月1日、国立天文台などの研究チームが、地球からおよそ118億光年も離れた宇宙で、モンスター銀河(数千億個もの星の集団が銀河。それらの中で、爆発的な勢いで新たな星を生み出している銀河のことだそうです)より10倍以上明るい超モンスター銀河を発見したと発表しました。

 まず118億年もかかって光が進む距離というのは何と表現していいやら、考えようとするだけで頭がパンクしそうですが、この銀河が『古事記』にも登場するヤマタノオロチに因み「オロチ」と命名されたと聞き、古代の人たちの思いが現代によみがえったようで、うれしくなりました。

 もちろん、古代の世界に今のような科学はなかったかも知れませんが、毎日、東の空から出て西に沈む何とも不思議な太陽や、灯りのない真っ暗闇の夜空に浮かぶ月や星を眺め続けるうちに、人々は宇宙の正体を私たち以上に理解、あるいは感じていたのではないでしょうか。残念ながら、私たちのまわりに真っ暗闇の世界はなくなり、星空を見つめる機会は本当に少なくなりました。

 一方、『古事記』は「水に浮かぶ脂(あぶら)のよう」な世界をイザナキ・イザナミの二神が矛(ほこ)でかきまわしたところ、その矛のしたたる潮からわが国最初の島(オノコロ島)が生まれた話から始まります。こんな発想、どこから生まれたのでしょう。

 そこで来年、古事記1300年を記念する事業のひとつとして、古代の人々が宇宙をどのように見ていたのか、宇宙の謎に取り組む最先端の科学者に『古事記』と向き合っていただく企画を進めているところですので、ご期待ください。

 アニメに登場しそうな超モンスター銀河「オロチ」は今日も星を生み出しているのでしょうか。その光が地球に届くのは118億年後ですが。