平成18年6月20日 無念

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 六月十日(土曜日)の昼前、郡山城址にある「柳澤文庫」へ。
 この日から夏季企画展『村の古文書には何が書き残されたのか』(展示期間:6月10日(土曜日)~8月20日(日曜日))が始まるということもありましたが、しばらく前から体調を崩していた学芸員の西村幸信君に会いたいと思ったのです。斬新なアイデアで数々の企画展を実現してきた西村君とは懇意にしていました。

 残念ながら彼は休暇を取っていましたが「郡山の村のかたちとそのなりたち」「水事情」「江戸時代の村々を襲う災害・飢饉」「宮座のしくみときまり」などのテーマで、市内の各地域に伝わる絵図や古文書が展示されています。自治会のご協力もさることながら、時間を忘れて準備にあたったに違いない彼の姿を想像するとともに、今ここにいてくれれば、もう十分と言うほど懇切丁寧に解説してくれるのになあと思いながら、ひととおり見させていただきました。

 文庫の正式名称は、財団法人「郡山城史跡・柳澤文庫保存会(外部リンク・新しいウィンドウが開きます)」。
 柳澤家からの数万坪の土地と、膨大な旧郡山藩資料の寄付行為によって昭和三十五年十月十日に設立され、郡山城址の管理整備や資料の整理、研究などを行っています。学芸員としての西村君は、資料の山との取っ組み合いを続ける一方で、子どもたちも含め、多くの市民に理解していただこうと心を砕いてくれていたのです。

 しかし、その翌日十一日でした。何ということでしょう。突然飛び込んできたのはその西村君の訃報だったのです…。
 享年三十七歳。言葉を失いました。あまりにも早すぎる死。さぞ無念だったことでしょう。残念で、残念でなりません。
 しかし、少し時間が経った今、西村君の熱い思いを受け継ぐことが私たちの責務だと考えているところです。
 ご冥福をお祈りいたします。安らかにお眠りください。合掌