平成18年7月24日 法螺貝が響く町

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 数百年前につくられたという役行者(えんのぎょうじゃ)の木像を前にして、一心不乱に般若心経や大峰山ゆかりの地蔵の名を唱える大人たち。その合間に法螺貝を吹き鳴らす子どもたち。もっとしっかり吹きなさいと、子どもたちを叱咤激励する大人たち。それに応えて、ほっぺたを思い切りふくらませる子どもたち。時に激しく打ち鳴らされる鈴や錫杖の音が、読経や法螺貝の音色と一緒になって、座敷は独特の雰囲気に包まれていきます。

 六月二十四日の夜、上記の「こおりやま大百科」で紹介されている「井戸野金丸講」に参加させていただきました。この講には現在約六十軒が属していて、毎月一回当番の家で「行者講」が開かれるとお聞きし、お伺いしたのです。
 行者講が開かれる日は昼と夕方に子どもたちが法螺貝を吹き鳴らしながら町内を回り、大切な日であることを知らせることになっているのですが、心身ともに健康な日々を願う地域の祭りに子どもたちの出番もきちんと用意されてきたということでしょうか(ただし法螺貝を吹くのは男の子の仕事とされています。女の子にも何らかの形で役割分担があれば、とも思いました)。

 法螺貝を吹くのはかなり難しそう。だからこそ、大人の仲間入りをみんなで認める儀式として長く伝えられてきたのかも知れません。
 講が終われば、お酒も出て話の輪が広がります。今年、何と数えで百歳を迎えたお母さんもその輪に加わり、すばらしい祭りの夜となりました。それぞれの地域に、さまざまな形で伝えられてきた行事や祭りをあらためて見つめ直すべきではないかと考えています。