平成18年11月20日 仮親

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 少子高齢化が進む中、子育て、あるいは子育ちを地域でどう支えるのか、あらためて問われているように思うのですが、先日、次のような問いかけに出会いました。「まだ子どもなんだから」と「もう大人なんだから」の境目はいったいどこにあるのか?確かに今、その境目は何ともあいまいになっているのではないでしょうか。

 そうした時、テレビのある番組で紹介されていたのが江戸時代の「仮親」というしくみでした。仮親とは親代わりのようなもので、実の親とは異なる立場で子どもの成長を応援するのですが、大人になるまでに何人もの仮親が登場しました。
 たとえば、出産を助ける産婆さんの「取上げ親」をはじめとして「名付け親」、「帯親」、「元服親」、「お歯黒親」、「仲人親」…。

 実の親はどうしても甘くなる場面があります。しかし、仮親は厳しい忠告や意見も言うことができるし、子どもも何かあれば相談し仮親の言うことはよく聞いたといいます。
 この応援団のしくみに加えて、子どもの成長を見守る行事やけじめがたくさん用意されていました。それは出産七日目、近所の人たちにお披露目をする「お七夜」に始まり、出産百日目か百一日目に行う「初宮参り」、さらに「七五三」と続きます。そして、大人への入り口に用意されているのが「若者宿」や「娘宿」で、先輩から仕事のやり方や社会のルールを徹底的に教え込まれました。

 つまり、子育て、子育ちというのは「地域や社会の一員」となる過程であり、地域ぐるみでそれを応援していたのです。
 この仮親のしくみ、現代社会に活かすことはできないでしょうか。