平成17年9月1日 科学する心

更新日:2021年03月19日

ページID 10142
市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

三の丸会館の北側にたたずむ日時計の写真

 市の中央公民館(三の丸会館)北側の広場に、高さがおよそ二.八メートルもありながら、あまり知られることなく、ひっそりとたたずむ南北二面の不思議な塔があるのをご存じでしょうか。下からながめると、大阪の万博で話題となった「太陽の塔」にどこか通じる姿で、『こま型日時計』と呼ばれています。確かに、北におよそ三〇度傾いて背中合わせの両面とも、顔にあたる部分はこまの形をしていて、中心にある軸の影が文字盤にくっきりと伸びています。
 この日時計、精密さだけでなく、夏場と冬場で文字盤を使い分けていること、さびないステンレスが材質に選ばれたこと、まわりが建物に囲まれていることから、一年を通じて日が当たる高さが割り出されたことなど、全国的にも大変ユニークなものだそうで、大和郡山青年会議所の寄付をもとに研究と設計が重ねられ、昭和五〇年四月十八日、「発明の日」にお目見えをしました。
 文字盤で読み取った時刻は微調整が必要で、その日ごとの増減一覧表が日時計の東側に設置されています。一覧表には『科学する心』の芽が育つことを願う趣旨の文章が添えられていますが、設置後、『科学する』の使い方は日本語としておかしいのではないかという意見もあったと聞きました。今は違和感もあまりなく、三〇年という時間の重み、時代の流れを感じずにはいられません。
 当時発行された『つながり』の表紙には、日時計を見上げる子どもたちの生き生きとした姿と笑顔が写っていますが、その時の感動を是非、次の世代に伝えていってほしいものです。