平成16年5月31日 切符

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 自治会の掲示板や公民館などで市制50周年の記念ポスターをご覧になったことがあるでしょうか。
 切り絵でつくられたお城。ブリキのおもちゃを連想させるような金魚。そして、ポスターの真ん中には『元気城下町』発『未来』行きの大きな切符。この切符を使ったシールは子どもたちにも好評で、50周年の想い出になってくれればと願っているところです。
 とはいうものの、カードをかざせば改札が開くようなシステムが開発されるなど、近い将来、『切符』を知らない子どもたちの時代が来ることは間違いありません。しかし、改札口でわくわくしながら差し出した切符、軽やかに響く鋏の音、あるいは今とは違い分厚く存在感のあった切符を知る一人としては、一抹の寂しさはもちろんのこと、『切符』と一緒にいろいろなものが消えて行くような気がしてならないのです。
 私たちは『切符』というものを通して例えば、人と人とのふれあいや温もりのようなものを知らず知らず教えてもらっていたのではないでしょうか。
 ところで、明治23年に開業した郡山駅(現JR郡山)は、国有化された明治40年以降、福島県の郡山と混同されるという理由で、鉄道院が大和郡山駅と改名しようとしたのですが、地元の人々は歴史の古さを訴え、頑として承知しませんでした。結局、駅名はそのままで、切符などは関西本線の(関)と東北本線の(北)という字を書き添えて区別することになり、今日に至っているのですが、一枚の切符に託された、先人の熱い思いをいつまでも大切にしたいものです。