平成16年8月23日 魔法の板

更新日:2021年03月19日

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市長てくてく城下町
上田清

大和郡山市長

 昨年春、市内の幼稚園をまわった時、『カプラ』という小さな積み木に出会いました。見ていると子どもたちが精一杯手を伸ばして自分の背よりも高く積み上げようと頑張ったり、床に座り込んで大好きな動物の形に挑戦したり、それをまた崩したり、いかにも楽しそうに遊んでいるのですが、何よりも感動したのは、カプラが床に崩れ落ちる瞬間の何とも心地よく、爽やかな響きでした。

 今から十数年前に考案されたカプラは厚さ〇・八センチの細長い白木の板で、厚さと幅、長さの比は一:三:一五。積み上げたり、組み合わせてあらゆるものを創ることができるので『魔法の板』と呼ばれています。この魅力的な積み木を、家族や友だち同士のきずなを確かめあう道具として活用できないかと考え、昨年実現したのがカプラ・親子フェスタで、会場には肩車で高さくらべに挑む親子や、「住んでみたい郡山のまち」というテーマにアイデアを出しあうチームの歓声と熱気があふれかえっていました。今のところ参加対象を限定していますが、将来的には小中学生から大人にいたる幅広い大会に育ってほしいものです。

 根気よく積み上げるのも楽しみ、苦労の結晶を一気に崩すのもカプラの醍醐味(だいごみ)。「壊してもいいよ!」と言われて子どもたちは一瞬戸惑ってしまうそうですが、そういえば子どもたちが分解できる電化製品などがまわりから消えつつある今の社会は、分解したり、壊したりすることによって胸に刻まれ、心の栄養となる小さな冒険心やほろ苦い想い出を奪ってしまっているのではないでしょうか。

 大会では、子どもに負けずカプラにはまる親の姿も印象的です。