平成29年度 施政方針

更新日:2021年03月19日

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以下は、平成29年第1回大和郡山市議会定例会での平成29年度市長施政方針の全文です。

  • 概要
  • 主要施策
    • 『協働のまち』
    • 『産業・環境』
    • 『子育て・教育』
    • 『安全・快適』
    • 『健康・福祉・生きがいづくり』
  • 平成29年度の予算について

 平成29年度の市政運営に対する私の所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 平成13年7月、私が初めて市長としての重責を担わせていただきましてから、16年を経過しようとしております。この間、市民の皆様、議員各位、関係機関等の皆様から暖かいご支援、ご協力、時には厳しい叱咤激励をいただきながら、市職員ともどもこれまで市政運営ができましたことを、深く感謝申し上げたいと思います。
 昨年、12月の市議会定例会の場におきまして、5期目の市長職を目指す決意を表明いたしました。

「あふれる夢と希望と誇り 暮らしてみたくなる元気城下町(やまとこおりやま)」

 これは、10年後の本市の姿を見すえた将来像でございます。未来に向けて市民のみなさまとともにさらなる一歩を踏み出していこうという強い思いを抱きつつ、新年度に臨み、任期満了までわずかな期間でございますが、引き続き直面しております行政課題に真摯に向き合い、本市のあるべき将来へ着実に歩み続けてまいりたいと考えているところでございます。
 さて、国における「平成29年度予算編成の基本方針」のなかでは、平成29年度の国内総生産の名目成長率が2.5%、実質成長率が1.5%程度と見込まれている一方、アベノミクスの成果を十分に実感できていない地域の隅々までその効果を波及させ、生まれはじめた好循環を腰折れさせることのないよう施策を実施していく必要がある、と述べるとともに、景気の動向は地域や業種によって異なるものと考えられる、とも記述されています。
 そのような認識のもと、地方公共団体に対しましては、国・地方を通じた厳しい財政状況と税制制度上の対応を見通し、また、政府における経済財政諮問会議等での議論も注視しながら、簡素で効率的な行財政システムを構築し、行財政運営について透明性を高め、公共サービスの質の向上に努めるなど、質の高い公共サービスを効率的・効果的に提供することが必要である、とされているところでございます。
 本市の平成29年度予算案では、財政調整基金以外に、福祉基金やふるさと応援基金、清掃センター維持管理基金などを有効に活用するとともに、企業などとも連携をすることにより、公共サービスを効率的・効果的に提供する予算編成をめざしたものでございます。

主要施策

 それでは、平成29年度の主要施策について新規施策を中心に、第4次総合計画の5つの施策大綱に沿って順次ご説明申し上げます。

第1章 協働のまち

 最初に、「協働のまち」でございます。

 平成27年6月29日に市庁舎建設推進特別委員会が設置され、さる2月10日まで9回に及びさまざまな角度からご議論いただくとともに、本年1月には庁舎建設の先進地視察も実施いただくなど、市庁舎建替えに向け議論を着実に深めていただいていることに対し厚く感謝申し上げる次第でございます。
 そうしたなか、平成29年度には、現在の敷地での庁舎建設にかかる基本計画の策定に取り組んでまいります。基本計画においては、庁舎機能や事業手法、建設スケジュールなど、より具体的に検討してまいります。
 また、若手職員を中心とした新庁舎検討職員ワーキングチームを立ち上げており、若手職員の柔軟な発想を基本計画のなかに反映させ、市民サービスの拠点としての機能はもとより、市民のさまざまな世代をこえた出会い、ふれあい、支えあいなど交流の場として、さらには災害時の防災拠点としてのありかたを検討してまいりたいと考えております。
 庁舎建設においては財源の確保も重要でございます。これについては、平成28年度に4億円を積み立て、平成29年度においては、さらに2億円を積み立てる予定でございます。平成30年度、平成31年度においても可能な限り積み立てを行うことで、庁舎建設に向けて財源確保を図ってまいります。

 人口減少への対応といたしまして、地理的な環境を含め、本市の魅力を京阪神を中心に全国に向けて積極的に発信していきたいと考えています。
 大阪在住の方からすれば、「奈良県は遠くの田舎」というイメージを持っておられる方が多いような気がいたします。そのようなイメージを払しょくし、奈良県大和郡山市は「近くて便利で素敵な地方都市」そのようなイメージを醸成するとともに、転入・定住・家族の絆応援助成金事業の実施に加え、空き家の利活用もからめまして、転入を促すためのしくみづくりを検討してまいります。

 まちづくりアイデアサポート事業については平成29年度で12年目を迎えますが、事業数はここ数年で1.5倍に達しています。歴史や文化、観光、教育、子育て、介護などさまざまな分野の事業を展開していただいており、本市が抱える課題についてのサポート役を担っていただいていることを実感しているところであり、若者から高齢者まで幅広い世代に呼びかけながら、今後とも積極的に実施してまいりたいと考えております。
 平成29年度は、この事業の学校版として、「子どもの学び」アイデアサポート事業を創設いたします。

 一方、市民サービスの充実といたしまして、マイナンバーカードを利用した、住民票や戸籍の交付をコンビニエンスストアでできるようシステムの改修を行い、平成30年4月から実施可能となるよう準備を進めてまいります。
 消費者行政につきましては、高齢者を中心に特殊詐欺等の被害が増加の傾向にあり、消費者トラブルが複雑かつ多様化しております。そのため消費者センターの役割はますます重要となっており、今後も相談体制の維持・強化に努め、消費者行政の推進に取り組んでまいります。

第2章 産業・環境

 次に「産業・環境」についてでございます。

 まもなく、郡山城天守台展望施設の完成を迎えます。お城まつりの期間に予定しております完成式典や修羅引き、その後も展望施設を活用したさまざまな催しを通じて、他に例を見ない立派な歴史的遺産を広く内外にアピールするとともに、私たち一人ひとりが、このお城に夢と誇りと希望を持ち、おもてなしの心で来訪者を迎える交流の場、かつ憩いの場となることを大いに期待しているところであります。昨秋から研修を重ねていただいている「石垣の語り部」の活躍も大いに楽しみです。
 訪れる方々が増えれば、現実的かつ重要な問題としてトイレが必ず必要となってまいりますが、現在、城跡にあるトイレは男女兼用で今の時代にはなじまないものとなっております。そこで、国の補助金を活用することにより、トイレの建替えを行い、増加が見込まれる観光客等、来訪者の方の利便性を向上させていきたいと考えております。
 一方、郡山城跡公園基本計画の見直しにも着手いたします。郡山城跡公園周辺では、まちづくりのコンセプトを「城下町の風情を活かし、いきいき暮らせるまちづくり」と定めた近鉄郡山駅前周辺地区まちづくり基本構想をふまえた基本計画の策定や、柳澤文庫による極楽橋の建設計画が進められており、加えて、県立郡山高校城内学舎が平成30年度末をもって廃止になるなど、周辺の状況の変化に合わせ、史跡環境整備の観点からも郡山城跡公園基本計画の見直しを行ってまいります。
 また、同公園の桜の植栽も進めてまいります。
 さらに、登録有形文化財に登録されております、町家物語館につきましては耐震工事完成後、観光資源としてはもとより、幅広い観点からの利活用を検討してまいります。
 一方、地元自治会からいただいております要望に応え、矢田観光駐車場の整備に着手をいたします。矢田地区は自然環境、歴史的遺産等の資源に恵まれており、この資源のより一層の活用をめざし、奈良県とも連携をしながら、事業を進めてまいります。

 次に、産業に関してでございます。昭和工業団地は大和まほろばスマートインターチェンジの完成により輸送時間の短縮やそれによる生産性の向上で、より魅力ある工業団地となりつつあります。
 このような昭和工業団地内の企業を中心に工場等設置奨励条例に基づき奨励金を交付することで財政的支援を引き続き行ってまいりますとともに、奈良県とのまちづくりに関する包括協定に基づき、県補助金を活用しながら、ビジネスマッチングセミナーなどを開催します。
 この間、団地内企業の女性社員や若手社員との意見交換会などを通じ、保育環境の整備や企業間の情報交換、相互交流の必要性、通勤環境の整備、安全安心のまちづくりなどの課題も見えてまいりました。
 すでに取り組んでいるものも含め、よりよい働き方と昭和工業団地の活性化、元気につなげていきたいと考えております。さらには、新たな工業ゾーンの創設に向け、奈良県と連携を図るとともに、昭和工業団地に近接する近鉄平端駅周辺の整備についてもその方向性について調査検討をしてまいります。
 一方、本市の未来を語るうえで、リニア中央新幹線中間駅の誘致は最も大きな命題のひとつであると認識しております。
 この中間駅は、昭和工業団地や本市だけでなく、奈良県だけでもなく紀伊半島地域全体の発展、活性化のためにも、県内市町村の大多数で構成されている「奈良県にリニアを!」の会をはじめ多くの皆様の応援をいただきながら誘致活動を粘り強く着実に進めていきたいと、決意を新たにしているところでございます。
 地場産業の振興としましては、平成27年度から実施しております、金魚マイスター養成塾を平成29年度も実施してまいります。「金魚を飼う文化」、「金魚とともに暮らす文化」の魅力を伝え、「金魚のまち 大和郡山」をアピールすることで、金魚産業を引き続き応援してまいります。

 農業振興につきましては、奈良県の補助を受け、ため池の耐震性の点検調査やハザードマップを作成する震災対策農業水利施設整備事業、農道や水路整備を行う農業基盤整備促進事業、地域共同で行う農地維持やそれに付属する水路や農道などの多面的機能を支える活動等を支援する多面的機能支払交付金事業など、平成29年度においても引き続き実施することによりまして、農地、水路、農道などの地域資源の質的向上や生産効率向上に取り組んでまいります。
 さらに、倒木などが懸念されるナラ枯れ被害の防除対策として、県補助金を活用し、土地所有者の方への補助金交付を拡充するとともに、里山の駅「風とんぼ」の敷地内で発生しておりますナラ枯れ対策も新たに行ってまいります。

 環境の分野で申しますと、清掃センターの長寿命化を図るため、総事業費55億円以上の経費を要しました大規模改修工事が平成29年度に完成いたします。
 清掃センターは昭和60年の竣工から30年以上経過し、その老朽化対策が本市の大きな課題でございました。ごみ処理の問題は市民の日常生活に直結する問題であり、清掃センターに問題が発生すれば、安定的にごみ処理ができず、途端に市民の皆様に多大なご不便、ご迷惑をかけかねません。このような重要施設である清掃センターの改修完了の目途がついたことに、少なからず安堵感をもっております。
 また、工事完成後の平成30年度からは民間のノウハウを活用し清掃センターの運転管理及び維持補修のコスト削減を図っていくため、業者決定に向けた業務を着実に進めてまいります。
 地球温暖化による気候変動が叫ばれるなか、今後10年間を見すえ、平成28年度から作成を進めております、第2次環境基本計画についても平成29年度完成予定であり、本市の環境行政に資するものと考えております。

第3章 子育て・教育

3点目「子育て・教育」でございます。

 平成28年第4回市議会定例会におきまして、中学校全教室へのエアコン設置を求める決議をいただきました。決議文にも述べられておりますように、近年、真夏においては35度を超える猛暑日が多く、熱中症対策や学習に集中できる環境整備は、国や奈良県の補助金がなく、財源確保が難しいため、学校教育における一つの課題でございました。
 しかしながら、市議会におかれましては、定数削減実施の財政効果を子育てや教育環境の整備のために使われるべきであるとの至当なご指摘をいただき、平成29年予算に全中学校の受電設備の改修等の設計に係る予算を計上し、平成30年9月の空調設備稼働に向け準備を進めてまいります。
 次に、小学校においては、調査及び設計が終了いたします、片桐西小学校外壁の補修や塗装などの全面改修を行い、学校環境の安全性を高めるとともに、幼稚園では、認定こども園への移行を予定しております矢田幼稚園以外の9園におきまして、小学校、中学校に引き続き防犯カメラの設置をすすめ、園児の安全確保に努めてまいります。
 さらに先ほど申し上げましたが、小中学校におきましては、「子どもの学び」アイデアサポート事業に取り組んでまいります。これは、子どもの豊かな心を育成するため、小中学校における独自の取り組みを各校から募集し、審査の上、その取り組みに補助を行っていくもので、既成の枠にとらわれない独自の教育の後押しをしてまいりたいと考えております。
 また、平成28年度、学校図書室の充実を図るため、パイロット的な事業としまして市立図書館に司書を1名増員いたしました。これにより、中学校の図書室の整備も進みつつあり、さらに司書を1名増員し、中学校図書室の整備を加速化させるものでございます。

 つづきまして、子育ての分野でございます。先ほども述べさせていただきましたが、昭和工業団地の女性職員との意見交換会でも保育環境の充実が課題であることを改めて認識いたしました。
 本市では親子たんとん広場やファミリーサポートセンターなど子育て支援施策を展開しておりますが、やはり子育て支援の根幹は保育環境の整備であり、それが子育て世代の転入・定住にもつながって行くものと考えております。
 平成27年度から着手いたしました(仮称)矢田認定こども園の整備は順調に進んでおり、平成30年4月の開園に向け、平成29年度においても着実に建設工事を進めてまいります。
 現在、矢田幼稚園、矢田山保育園合わせて110名ほどの園児が在園しておりますが、新たな認定こども園では定員を180名としており、定員の拡充を図ってまいります。
 保育定員については、社会福祉法人が設置しております郡山西保育園の建替え経費に対する補助も実施してまいります。建替えは3か年事業となり、平成31年度中の完成をめざすもので、定員は現在より30名増の210名となる予定でございます。
 このように保育環境の整備を着実に進めていくと同時に、平成28年度において設計を行っております、矢田南学童保育所の増設工事に着手してまいります。
 また、公立保育園及び認定こども園への防犯カメラの設置を幼稚園と同様に行い、幼い子供たちのさらなる安全確保を目指すものでございます。
 子育てに関しましては、保育環境の整備以外にも保健センターにおきまして、不妊治療費の助成を平成29年度から行ってまいります。少子高齢化の時代において、子どもを望むもかなわないご夫婦の不妊治療に係る経済的負担の軽減を図ることで、少子化対策の一助になればという思いのもと、実施していくものでございます。
 保健センターではさらに、妊娠期から子育て期にわたるまで切れ目のない支援を行う利用者支援事業や産前・産後サポート事業の拡充を行い、妊娠期という子育ての準備段階からのサポートを強化してまいります。

第4章 安全・快適

 続きまして、「安全・快適なくらし」についてでございます。

 まず、空き家対策についてでございます。平成28年度においては消防団との連携のもと、3千件を超える空き家の調査を実施いたしました。その結果に応じまして、管理が行き届いた空き家については、今後の利活用についてのアンケートを、また、管理不全の空き家については、その所有者に適切な管理を求めていく予定でございます。
 そのうえで、平成29年度は調査から一歩踏み出し、具体的に倒壊の危険が認められる空き家の除却を行う行政代執行の経費を予算化しております。
 今後とも、実効性のある空き家対策に取り組んで行きたいと考えているところでございます。
 安全について申し上げれば、自発的な防犯活動を支援するため、防犯カメラを設置する自治会に対し、引き続き費用の一部を補助してまいります。また、本市の防災をそれぞれの地域を中心に日ごろから支えていただいております、消防分団の団庫耐震改修につきまして、平成29年度は外川分団の団庫改修工事に着手してまいります。
 治水対策では、平和団地の内水による浸水被害対策に平成20年度から取り組んでまいりました。足かけ10年を要する事業となりましたが、平成29年度には総延長1キロメートル以上の整備を終え、事業が完了する見込みでございます。
 防災の面では、橋りょうの維持補修及び耐震化も重要な課題となっております。巨大地震の発生をくい止めることは、人智の及ぶところではなく、いかに被害を少なく、復旧を迅速に行うかが課題でございます。その点では道路網の寸断はイコール復旧の遅れを意味することに鑑み、平成29年度におきましても郡山大橋の耐震補強をはじめ、各橋りょうの点検及び補修に取り組んでまいります。
 また、災害時のマニュアルの再確認を行い、災害による被害を最小限に抑えるため、専用のケースを作成し、すぐに取り出せるようにするなど職員意識のさらなる向上に努めてまいります。
 橋りょう以外にも道路における安全な交通環境の整備としましては、市内一円の道路維持補修のほか、伊豆七条高野線新設に継続して取り組んでまいります。

 また、快適なくらしという側面では、片桐東団地D棟の建設を継続しつつ、片桐東団地の最終棟となるE棟の実施設計を行う予定でございます。片桐東団地建設事業は平成10年の土地取得から20年近く経過し、平成31年E棟の完成をもって終了する予定でございますが、その平成31年に合わせ、すべての棟にエレベーターを設置していく予定でございます。
 次に、都市計画道路城廻り線街路事業につきましても、魅力のある市街地づくりを念頭に、市街地への車両流入の抑制、JR郡山駅前へのアクセス機能の向上、防災機能の向上などを目標とし、着実にすすめてまいります。
 水道事業につきましては、老朽配水管の敷設替えなどを実施し、安全で良質な水の安定的な供給に努めてまいります。
 下水道事業につきましては、本年度は、ストックマネジメント計画の策定や市内10工区において管渠整備を進めてまいります。今後も事業の効率化を推進し、快適な生活環境の確保に努めてまいります。

第5章 健康・福祉・生きがいづくり

 最後に、「健康・福祉・生きがいづくり」でございます。

 「やまと郡山城ホール」はすでに皆様ご存知の通り「DMG MORI やまと郡山城ホール」となっております。これによるDMG森精機株式会社からのネーミングライツ収入により、平成29年度は大ホールの舞台機構改修など比較的大規模な改修を行ってまいります。
 竣工から15年以上が経過し、設備の劣化への対応が必要となりつつありますが、このネーミングライツ収入を効率よく活用することで、市民の文化活動の振興と文化創造の拠点であるホールの機能維持に努めていきたいと考えております。
 さらに、「DMG MORI やまと郡山城ホール」に車いす席を増設いたします。現在、ホールの車いす席は最後列にのみ座席スペースが設置されておりますが、車いす使用者等の障害のある方はもっと近くでイベントやアーティストを鑑賞でき、なおかつ座席を選択できることを強く望まれております。
 今般、一般財団法人自治総合センターの助成金を活用できることとなり、ホール前方に車いす席を増設し、併せて移動手段として自走式の階段昇降車を導入することにより、車いすを利用される方の要望に少しかもしれませんが近づけるのではないかと思う次第でございます。
 今後とも「障害のある人に優しい施設は、すべての人に優しい施設」を目指し、ホールの管理運営に取り組んで行きたいと考えております。

 障害福祉の施策につきましては、「手話に関する基本条例」において手話を必要とする障害者の方を支えるための基本理念を定め、奈良県内では他市に先がけ平成27年4月1日から施行しております。
 他市に先がけてということで申し上げますと、平成28年4月1日から施行し、犯罪被害者の方を支える基本理念を定めた「犯罪被害者等支援条例」もそうであります。今後とも地域社会を支えるための基本理念をしっかりと発信してまいりたいと考えております。
 さらに、福祉の分野におきましては、平成29年度、奈良県の旧郡山保健所跡地の用地取得を行いたいと考えております。この用地の周辺は社会福祉会館を初め老人センター、郡山西保育園、母子生活支援施設である「ライフイン郡山」などの福祉関連施設が集積している福祉ゾーンとなっております。この福祉ゾーンの機能強化を図るため、奈良県から用地を購入し、整備をしていく予定でございます。

 高齢者福祉の分野におきましては、地域包括ケアシステムの構築に向け、在宅医療・介護連携推進事業に加え、認知症総合支援事業などにも取り組んでまいります。
 また、精神障害者医療費助成事業につきましては、平成27年8月診療分から精神障害者福祉手帳1級を所持している方に全診療科の医療費助成を行ってまいりましたが、平成29年度からは、助成対象となる方を1級だけでなく2級まで拡大し、精神障害者の方への支援を広げていくものでございます。

 健康づくりにつきましては、薬剤師会と協力して取り組んでおります、残った薬の管理のための「節薬バッグ」運動や、すこやか100万歩運動による、メタボリックシンドロームなどの予防に有効であるといわれるウォーキングの推進、ラジオ体操の普及にも引き続き努めてまいります。

 最後に、平成29年度には、奈良県において第32回国民文化祭が開催されます。国民文化祭とは、文化活動を全国規模で発表する機会を提供するとともに、国民の文化活動への参加意欲を喚起し、各地の文化の発信を行う国内最大規模の文化イベントでございます。
 本市では「DMG MORI やまと郡山城ホール」で開催されます「太鼓の祭典」及び「現代詩の祭典」を中心に補助を行うとともに、市民劇団による鎌倉時代の西大寺の高僧、叡尊を題材とした演劇も支援し、奈良県と連携しながら文化の発展の一翼を担っていきたいと考えております。

 以上、施策体系により、平成29年度の主要施策につきまして、ご説明申し上げました。

平成29年度の予算について

 続きまして、平成29年度の予算の全般的事項について申し上げます。

 歳入予算では、市税収入のうち、法人市民税では若干の減収見込みである一方、固定資産税において若干の増収を見込んでおり、市税収入全体では、平成28年度と比較いたしまして、微増となっている状況でございます。
 しかしながら、平成28年度前半においては世界経済の不透明感などにより、国内経済についても個人消費や設備投資といった民需に力強さを欠いた状況となっているとの内閣府の見解も見受けられる一方、本年1月の総務省の通知ではアベノミクスによる施策の実施により、政権発足前に比べGDPは名目、実質とも増加しており、経済の好循環が生まれている、とされております。
 こうした状況において、国及び奈良県の資料を参考に各種交付金を算出いたしました結果、地方消費税交付金などにおきまして、比較的大きなマイナスとなっております。
 歳出予算では、清掃センター長寿命化事業における事業費の減や幼稚園耐震補強改修事業、中央公民館耐震改修事業、衛生センター長寿命化事業分の減など大規模事業の完了等により、投資的経費では前年度と比較して26億円を超える減の予算計上となっております。
 また、社会保障経費の増加も続く一方、市庁舎建設に向けた基金の積み立ての財源も常に意識していかねばなりません。今後とも歳入、歳出のバランスを意識するだけでなく、集中改革プラン「リメイク大和郡山プロジェクト ステージ3」のさらなる推進が必要になると考えておるところでございます。
 このような、財政状況ではございますが、平成29年度の予算編成にあたりましては、第4次総合計画の推進を基本としつつ、本市が抱えている喫緊の課題への対応、また、将来に向けての重点施策にも積極的に取り組み、歳出においては、より適切な予算額の計上に努めたところでございます。

 こうして編成を行いました、平成29年度の予算規模は、

  • 一般会計:317億9千万円
  • 特別会計:214億9千43万4千円
  • 公営企業会計:79億2千251万円
  • 全会計総計では:612億294万4千円

となったところでございます。

 一般会計につきましては、前年度に比べ、21億2千万円、6.3%減の編成となっておりますが、これは、先ほども述べましたとおり、大規模事業の完了等により、投資的経費が大幅に減となったことが主な理由でございます。

 平成29年度予算案を改めて俯瞰いたしますと、市庁舎建設に係る基本計画、市庁舎建設の財源確保のための基金積立金、矢田観光駐車場の整備に向けた用地取得、福祉ゾーンのための用地取得など、来年度、すぐには完結しない事業の予算を計上いたしております。言い換えれば、未来への投資、未来への基礎固めと言えるのではないかと思っております。
 平成13年7月、初めて市長の職に就かせていただいてから、16年が過ぎようとしております。そのなかで思うことは、行政の実務においては土台を固め、その上にしっかりとした基礎づくりが必要であり、基礎があってこそさまざまな夢や希望を描くことができる、ということであります。

「あふれる夢と希望と誇り暮らしてみたくなる元気城下町(やまとこおりやま)」

 この将来像の実現に向け、再度一から基礎固めを行い、大和郡山市の将来の発展に向け、「初心忘るべからず」これを肝に銘じまして、市政運営に今後とも精一杯取り組んでいく覚悟でございます。

 最後に、議員各位をはじめ、市民のみなさまのご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げ、平成29年度の施政方針とさせていただきます。

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