リノベーションまちづくり関係者インタビュー
広報つながり9月号本編の特集ページはこちら

もくじ
大和郡山まちづくり株式会社 大垣さん編
大和郡山まちづくり株式会社の取り組みについて
大和郡山市の城下町エリアで、公民連携のまちづくりに取り組んでいます。
具体的には、空き家の活用に悩む所有者と新しい事業を始めたい人々のマッチングと、その新しい事業が開業するまでのサポートをしていて、これまでに6軒の施設が誕生しました。
所有者から借り受けた空き家をリノベーションして、まちで新たに事業を興しチャレンジしたい人々が活躍できる場として提供し、その背中を押すことが私の役割です。
会社設立の経緯について
2020年、大和郡山市で“リノベーションスクール”が開催されるとの情報を見つけました。当時は東京で忙しく仕事をしていたのですが、地元ということで参加してみました。すると、これまで興味を持っていたこと、勉強してきたこと、経験したこと、今後やってみたいこと、が一致したのです。
それがきっかけで、2021年に大和郡山まちづくり株式会社を設立しました。かねてより綿密に準備していたわけではなく「勢い」でした(笑)
設立当初は、東京の会社で勤務を続けながら時折大和郡山に戻ってくる、という働き方を続けていましたが、大和郡山まちづくり株式会社としての事業を重ねていく中で、生まれ育った地元でのまちづくりに専念することを決意しUターンしてきました。
正直に言いますと、大和郡山ではなくどこか別のまちでリノベーションスクールに参加していたら、人生がまったく違ったものになっていたかもしれません(笑)
もともとは別の仕事をされていたとのことですが、大垣さんご自身のことを教えてください
生まれてから高校時代までを大和郡山で過ごし、大学進学を機に大和郡山を離れました。
大学では建築を専攻していました。その頃から(まちの)エリアの魅力をどう改善していくかということに興味があり、実際にまちづくりに携わる機会もありました。卒業後はエリアリノベーションを得意とする東京の建築設計会社に就職し、建築士としての経験を積みました。
高校時代は柳町商店街を毎日自転車で通っていましたが、当時はまち自体に興味を持つことはありませんでした。城跡がすぐそこにあることや、歴史が感じられる町並みなどはあたりまえすぎたのです。地元を離れた時期があったことと、Uターンして仕事をする場にもなったことで新たな発見も多く、魅力あふれるこのまちが好きになりました。
ご自身もこのまちでお店を始めました
もともと歯科医院だった築70年以上の空き家を複合店舗へとリノベーションして、その一角にサウナを併設したバーを2024年にオープンしました。
まちの人たちが気軽に交流できる場所を作りたかったのです。
実際に、一人で来店されてもお客様同士で会話がはずんだり、その後仲良くなったりされていて、人の輪が広がってきている実感があります。
今後について
ひきつづき市と連携して空き家を利活用することで交流の場を創出していきます。
とはいえ、むやみに店舗数が増えればよいのではありません。私が最終的にめざしているのは、「まち(地域)での暮らしが楽しく、豊かだ」と感じる人が増えることなのです。
cotton・ワタマチテラス オーナー編
cotton・ワタマチテラスとしてお貸しいただいている物件について
この物件は、昭和5年から10年ごろに建築されたもので、借家として貸し出すために先代が建てたものでした。
20~30年前頃から共同住宅の建築用地として建築会社からの営業が時折ありましたが、当時はまだ住んでいる人もいましたので断っていました。
活用に至った経緯について
5年くらい前から空き家状態になっていました。
中には平屋のほうが住みやすいという方もいたりして、急な階段などの建物のつくりが時代にあわなくなっていたようです。
しかし、近隣の建物がどんどん建て変わっていくのは寂しいという気持ちもありました。
物件を他の形で活用しようかと考えていた頃に、リノベーションスクールの題材として提供しないか、という相談をいただきました。
ご先祖さまから受け継いだ土地と建物をできるだけそのままの形で活かせて、まちを活性化することやまちが元気になることに貢献できるのならという想いで、大和郡山まちづくり株式会社に物件をお貸しすることにしました。
物件を後の代に伝えていくことや、ふだんの管理をしてくれる人がいるという点で、共同住宅などにするよりもリノベーションまちづくりに提供するほうがよいとも考えました。
もしこの話をいただかなかったら、建物を取り壊して駐車場にしていたかもしれません。
活用されている現在について
建物が有効に活用されていて、とてもありがたいです。
使われずに空いているよりも誰かが使ってくれている方が建物にとってもよいですし、自分としても掃除にかかっていた手間がなくなりました。
やはり人が出入りすることはよいことですね。
今後について
こども食堂のような催しをしてくれていて、近所の人にも関心を持ってもらえるし、だれでも立ち寄れる使い方で人との関わりを大切にしてくれているというのもまたよいです。
若者の愛着を育むような、人を大切にしたまちづくりに協力していきたいし、まちがこれからもどんどん元気になればよいと思っています。
cotton・ワタマチテラス 事業主 藤本さん編
事業内容について
障がいのある方の支援をする福祉施設で7年半働いた後、独立して一般社団法人eightを設立して13年になります。
主に重度の知的・発達障がいを持つ方の支援を行っているのですが、ただ単純な内職をやってもらうのではなく、時には外へ出かけたり、市役所内の作業をお手伝いさせてもらったりして、一般の方に障がい者のことを知ってもらえるような工夫もしています。
「やってみたいをカタチに!」をモットーにしていて施設の利用者自身におでかけをするのか作業をやるのかを決めてもらうことがあります。誰しも「やらされること」より「やりたいこと」の方が楽しくやれるじゃないですか。
それは施設で働く職員も同じことだと思っています。実際に、職員から利用者と一緒に木工をやりたいと提案があったときには、道具をそろえて木工をやってもらったこともありました。こういう取り組みは結果的に利用者との関係性や業務環境をよくして、よりよいサービスを提供することにつながっていくと思うんですよね。
リノカレについて
リノベーションカレッジ(以下、リノカレ)に参加したのも、一緒に働く仲間(生まれも育ちも郡山!)に「なんかおもしろそうな催しを見つけたから参加してみない?」と誘われたことが始まりでした。たしかにおもしろそうだし、これをやりたいならじゃあ一緒に参加しようってことで、当時空き家になっていたとある物件をテーマに空き家の活用方法を考えてプレゼンしました。するとそのプレゼンの内容を、リノカレの主催者から「これから活用していく古民家長屋でやってみないかと」提案されまして。
当時、この長屋のリノベーションは2人の大学院生が行っていました(2022年 ニコイチ長屋プロジェクト)。リノカレですごく人とのつながりが増えたし、学生さんとも交流ができるのなら是非に、と提案を受けたんです。その結果誕生したのがcottonとワタマチテラスでした。
リノカレに参加してよかったこと
築100年近くにもなる建物のリフォームはとても良い経験になったと思います。なにより、ご近所さんや関わってくれた人たちがめちゃくちゃいい人たちばかりで。障がい者施設となると煙たがられることも少なくないのですが、リノベーションの段階から彼らがご近所さんとの関係性を作ってくれていたおかげか、みなさん親身になってくださっています。cotton食堂という、こどもからお年寄りまでだれでも立ち寄れる食堂を月に1回やってるんですが、60人くらい参加してくださるようになって、ほんとに日々支えられてるなと感じますね。
リノカレに参加してから困ったこと
開設当初の雨漏りくらいかな。それも大和郡山まちづくり株式会社の大垣さんがすぐに修繕に来てくれて、普通の雨くらいならほとんど気にならないです。すごい大雨のときは多少雨漏りするけど。(笑)
今後について
eightの活動の10年ビジョンとして「大和郡山から笑顔あふれる地域を創る」を掲げています。将来的には、障がいの有無や年齢に関係なくだれもがこの地域で暮らし続けられる環境を作りたい。
例えば今の活動の中から、福祉関係の職業としてケアラーズカフェなどを始めてくれている人もいます。cotton食堂での経験が郡山での楽しい思い出になって、郡山や福祉へのいいイメージを持ってもらえたら、進学で地元を離れても郡山に帰ってきてくれるかもしれないですよね。私は郡山をそんなまちにしたいと思っています。
リノベーションまちづくりに関しては、よい物件があれば今後もぜひ参加していきたいと思います。具体的には定員40名くらい入れる大きい古民家のリノベーションをしてみたい。面積でいうと120坪くらいかな。
新しい建物を建てるよりももとからある建物を活用する方が、その地域の方とつながりを持ちやすいと実感していますので、ぜひ今後もこういった取り組みに関わっていきたいと思います。
この記事に関するお問い合わせ先
まちづくり戦略課 公民連携空き家利活用推進室
郵便番号:639-1198
大和郡山市北郡山町248-4
電話:0743-53-1151(内線672・675)
ファックス:0743-53-1049
メールフォームによるお問い合わせ
更新日:2025年08月28日