まちかどレポート512
まちかどレポート512 「さよなら、金魚の電話ボックス」
(まちかどレポーター佐藤)
「さよなら、金魚の電話ボックス」(平成30年5月10日掲載)
柳の金魚の電話ボックスが、とうとう撤去されました。
いろいろ報道があったけど、地元の人のことを考えると、これも仕方のない幕引きでしょうか。
ぼくは、この電話ボックスが大好きでした。
郡山を代表する金魚のアカと電話ボックスのアカはよく似合っているし、それが街角のガソリンスタンドだった場所にあるというのも、庶民的で気取りがなくて、心和む風景でした。
でも写真をよく見ると、天蓋の赤い色が少し剥げていたりして、今回の騒ぎがなくても、そろそろお疲れの時期だったのでしょうか。
この電話ボックスは、7年ほど前に京都の美術系大学の金魚部の学生が造って、最初は「テレ金」という名前だったとか。今の場所に置かれたのは4年ほど前で、確か電話器のかわりに、レゴブロックが金魚と一緒だったときもありましたね。
ところで、金魚たちはどうしたんでしょう。
近所の人の話では、金魚ボックスが撤去される数日前の夜明けに、天蓋が自然に開いて、金魚たちはフワフワと大門湯の煙突の回りを漂った後、朝日を浴びながら空の向こうに飛んで行ったそうですよ。
何でも金魚は2千年ほど前に中国で生まれて、不思議な力があるというから、案外それは本当のことかも知れないと、僕は思っているのです。
電話ボックスが無くなっても、柳の町は金魚のまち、商店街の軒下の金魚を訪ねてみました。
上は「と本」さんの店先と、金魚の休憩所に置かれた金魚。品評会なんかで使われる白いホーローのたらいは、軒先のディスプレイとしても似合っていますよね。
ショウウインドウの猫、いや金魚。
手水鉢と陶器の大鉢。どちらかが飾り物の金魚なんですが、分かりますよね。
堺町の電気屋さんの金魚の電子レンジと金魚のボール。電話ボックスと同じように、レトロな道具と金魚の非日常的な風景が、人気の秘密のようです。
数年前の「金魚鉢のデザインコンテスト」の一等作品。
郡山は「きんぎょのまち」。やっぱりここでも、「あかい金魚」には「赤い改札機」が似合っているのです。
更新日:2021年03月19日