まちかどレポート436

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

まちかどレポート436 チョウサジャ、チョ!

(まちかどレポーター 後藤)

チョウサジャ、チョ!(平成28年2月3日掲載)

男性たちが、縄を竹に吊るして持ち運んでいる写真

1月11日成人の日、矢田丘陵に鎮座する古刹、東明寺本堂脇の八坂神社へ行って来ました。
この日は、お田植え神事と綱掛けが行われます。
午前9時ごろ現地に着き、境内へと続く石段を登りかけた時、上の方から賑やかな声が漏れてきました。

集落の男性たちが作っているのは午後からの綱掛けに使用する縄。東明寺を下った谷に掛けるのです。
午前中に20メートル程の縄を7本作って、午後からはそれらを1本の太い綱にする段取りで、縄を綯う人2名、縄を支える人、藁を渡す人1~2名の10名程度で作業をしておられました。

大縄のもとになる縄を編んでいる男性たちの写真
大縄のもとになる縄を編んでいる男性たちの写真
縄を編んでいる男性たちに材料の藁を渡そうとしている男性の写真

「チョウサジャ、チョウサジャ、チョウサジャ、チョ!」の掛け声に合わせ、互いのリズムを整えながら綯っていきます。
時には冗談を言いながら作業をされていました。傍で見ていると互いの力加減が違うと縄の太さに違いが出るため、力のバランスも意外と難しいものだと感じました。

できあがった縄はいったん丸めてコンパクトにしておきます。

丸まった縄が地面に置かれている写真
丸まった縄のかたまりたちが地面に置かれている写真

ようやく7本目の縄が完成です!
この時点で11時。私が着いたのは9時でしたが、みなさんは8時から作業を開始されていたので3時間も綯いっぱなしだったのです。
傍におられた長老の方が「まだまだ、綱にはならんよ~」と笑いながら仰っていました。
そうです、午後からも作業は続くのですから...。

さて、お昼休憩を終えた13時。
「さ~やろか~」の声を合図に、竹をくべて暖をとっていたみなさんが再び境内へと向かい始めました。
お昼からは女性の方や子どもたちも加わり、さらに賑やかに...。
7本の縄を1本の太い綱にする作業の始まりです。

出来上がった複数の縄が地面に並べられている写真
出来上がった縄を引っ張て編み上げる男性たちの写真

「チョウサジャ、チョ!!」
皆がリズムに乗ると、綯うスピードがどんどん速くなっていきます。
前方へ引きずられないよう、縄を支える方は必死です!
子どもたちも大人に混じって、頑張って綯っていましたよ。

出来上がった綱をメンバーの男性を軸にして筒状に巻いている写真

やがて1本の太い綱ができると筒状に巻きはじめ、その中にトーヤを入れて胸の辺りまで巻き上げました。
さあ、何が始まるのでしょうか?
すると、そのまま前方へ倒し、縄つくりの時に使用した棒を後ろから差し込みながらトーヤを出しました。

縄の中心に棒を差し込み、巻かれていた男性を押し出している写真
差し込んだ棒を軸にして、大縄を運ぼうとしている写真

続いて14時ごろより、矢田坐久志玉比古神社の宮司によるお田植え神事が執り行われます。
鍬で地面に苗代を描き、籾まきの所作をしている場面です。

地面に書かれた苗代に向かい、籾まきの所作をする宮司の写真

次は綱掛け神事です。

出来上がった縄に清めの塩をかけている宮司の写真

すべての神事が終わると、綱はトラックに乗せられ谷へと運ばれていきました。

作られた大縄が注連縄として、森の中で張られている写真

15時半ごろ、ようやく谷に綱が掛かりました。
綱を見上げる集落の方々の表情にはどことなく安堵感が漂っているようにも見受けられました。
一日がかりのこの神事、土地に住む方々にとっては一年の始まりを告げるとても大切な行事ではないかと思いました。何気なく見ていた綱。この綱は集落の人々の思いがたくさん詰まっているのですね。

今回、突然の訪問にも関わらず、東明寺のご住職さまをはじめ集落のみなさまが温かく接してくださり、またこうしてまちかどレポートへ紹介したい旨にも快く応じてくださり、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
今年も、こうした郡山の様々な顔をみなさまにお伝えできればと思っています。