まちかどレポート479

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

まちかどレポート479 小泉大塚と六道山古墳

(まちかどレポーター 佐藤)

小泉大塚と六道山古墳(平成29年3月24日掲載)

野原と近辺のコンビニの写真
コンビニと小高い丘の写真

これは古墳です。小泉町の丘の上、コーナンの向かいにある小泉大塚古墳です。
でも左の写真では古墳は豊かな樹木に覆われているのに、右の写真は禿山のようになっている--、
実は左は2年ほど前の写真で、去年古墳を覆っていた木が伐採されてしまったのです。

小泉大塚は、大和郡山市では一番古い古墳です。
平成8年の発掘調査で7面の古代の鏡とともに、多数の鉄挺、剣などが出土したことや、墓室は古い古墳に特徴的な、周囲に石を積み上げた竪穴石室であることが報告されました。
この貴重な古墳がどうして禿山になってしまったのか、これが今回のまちかどレポートのテーマです。

野原と近辺の雑木林の写真
広場の木と白い建物の写真
緑の柵と小高い丘の写真
地面に立つ鳥の写真

小泉大塚は前方後円墳という種類の古墳です。
左上の写真を見て下さい。これも以前の写真ですが、ちゃんと右の方に前方部が在るように見えるでしょう。けど…違うんです。
実はこれは県営住宅の建物で、前方部は削平されて、その上に建物が建てられている(写真右上)。この建物が建てられたのは70年前の東京オリンピックの頃でもう住む人も居ない。
そうなんです。ここは千七百年前の古代の遺跡と、高度成長期の昭和の遺物が隣合って残っている、そんな不思議な場所なんです。

枯れ木と小高い丘の写真
小高い丘の見える住宅街の写真

ところで、小泉大塚の木がなぜ切られたのか、その答えが上の写真にあります。
これは小泉大塚より百年ほど後の六道山古墳、同じ小泉町で慈光院の側にある古墳ですが、写真でわかるように、この古墳も墳丘の樹木が切られて丸坊主になっている。
そうなんですね、もうお分かりでしょう。
古墳が住宅に密接している。それが以前は森になっていて沢山の鳥が棲みついていた。
彼らは鳴くんです。糞をするんです。喧しいし臭い。洗濯もんなんか外に乾せない。で、2年前に樹木が切り払われたんですが、そうすると、棲んでいた鳥たちが大挙して小泉大塚に引越しした。そこで去年こちらのほうも同じように綺麗にされたというわけです。

これは当然のことでしょう。いくら貴重な古墳だからといって、付近に住む人々が住宅が迷惑してはたまらない。
しかし、古墳は潰してしまうわけにはいかない。古墳はこの町に一番先に作られた建造物で、遠い昔に住み着いた人々の記憶です。
今年は、片桐町の市制編入60年の節目の年とか、小泉の貴重な古墳がこの町の美しい景観の一部となって、残されていってほしいものです。