まちかどレポート499
まちかどレポート499 再発見ウォーク「自然豊かな矢田丘陵から県立民俗公園」
(まちかどレポーター佐藤)
再発見ウォーク「自然豊かな矢田丘陵から県立民俗公園」(平成29年11月29日掲載)
11月17日の再発見ウォークは、秋晴れの矢田丘陵から矢田の民俗公園を歩きました。
【当日のコース】
横山口バス停留所~矢田寺~東明寺~矢田坐久志玉比古神社~大和民俗公園
常陸の国の昔話にこんな話があります。
ある人が苦労して、山の麓に田を開いたんです。ところが秋になったら山から夜刀(やと)の神が降りてきて、せっかく実った稲田を荒らしてしまった。夜刀の神というのは頭に角がある蛇のことです。
そこでこの人は、山の端に柵を設けて、ここから下には来ないで欲しいと神に祈ったんです。
そのかわりに私は山を大切にして荒らさないと。
すると、次の年から夜刀の神は来なくなった。
そこで、この人は柵の所に小さな祠を建てて、その年の収穫の一部を奉げるようになったんです。
写真は、この日歩いた東明寺の下の、山の中に注連縄(しめなわ)が張ってあるところで、この昔話を思い出しました。おそらくここも神と人との境界で、昔の人は山の神を畏れ、大切にして暮らしてきたんでしょう。
(写真は今年の2月に撮ったもので、しめなわは毎年1月に張り直されます)
矢田寺参詣の登り道で、近くのグループホームの人達と出会いました。あじさいの季節には賑わう道は、普段は地元の人の散歩道です。
矢田寺本尊の地蔵菩薩は、春日の神々が造られたという伝説があります。ここは仕事を終えた神様たちが、盆地の向こうの春日の森に帰られるために飛び立たれた所で、手前の後ろ姿のお地蔵さまは、それを見送っているのです。
この人が祈っているのは、矢田寺境内の「味噌なめ地蔵」。このお地蔵さまに手を合わせると、美味しいお味噌汁が作れるようになるんです。その真剣な姿に思わずカメラを向けたのですが、残念ながら肝心のお地蔵様は写っていなくて。
そうですね、これはまあ、作れるようになるとしても、何とか食べられるお味噌汁ぐらいでしょうか。
(右は今年の6月に写した味噌なめ地蔵です)
矢田寺から東明寺へ。そんなに遠くはないけど、この日一番の難所です。
東明寺の紅葉に出逢えた秋は、何か小さな拾い物をしたような気になるんです。どうですか今年は。来年も再来年もまた、東明寺の秋に出逢いましょうか。
矢田坐久志玉比古神社。矢田郷5カ村の総鎮守。遠い昔から矢田山の麓に暮らす人々が、大切に守ってきた神社です。
ウォーキング途中で出会った矢田小のこどもたちと、民俗公園。
最後の石碑、民俗公園の「伝習農場跡」の碑。ここには戦後、農業の指導者を育てるための学校があって、昭和24年から46年までに413名の人たちが巣立ったそうです。
更新日:2021年03月19日