まちかどレポート385

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

まちかどレポート385 4坪の本屋さん

(まちかどレポーター 後藤)

4坪の本屋さん(平成26年10月30日掲載)

10月27日から読書週間が始まりました。
読書の秋を満喫されている方々も多いのではないでしょうか。
秋深まる10月26日、以前から気になっていた旧城下町の柳町商店街にお店を構える書店「とほん」さんへ立ち寄って来ました。

路上に置かれた看板の写真
和風な建物の入口の写真

お店に入り「どんな本があるのかな?」と静かに見ていると、表通りから「見て見て!こんな所に本屋さんある」と子どもたち声が聞こえてくるほど、ここはわずか4坪の小さな小さな本屋さんです。
以前はなかったはずと思って、店主の砂川さんにお訊ねすると「オープンは平成26年2月22日です」との事。
レンタルスペース柳花簾のうちの4坪分をお借りして本屋さんを開いておられます。
書店にお勤めだった経歴を持つ砂川さんは、大阪での勤めの後、やはり本に関わる仕事をしたいという思いから、この大和郡山で自身の書店を持つに至ったそう。
店主自らセレクトした、おすすめの新刊と古書の両方を扱っておられ、ジャンルは様々。
また、店内にはかわいらしい雑貨も販売されており、お店の雰囲気はまるで家庭の一室のようで気持ちの安らぐアットホームな印象を受けました。

本屋の明るい内装の写真
黒い棚に陳列された商品の写真

居心地が良くて、ホットなお店の雰囲気。この感じはどこから来るのかと店内をよく見ると、古い学習机や民家で使われていたようなラックなどが目に留まりました。
これらは、要らなくなったものをご近所さんからいただいたとの事。
おしゃれな感じと昔ながらの素朴さとが、絶妙なバランスで溶け合っているからこそ、この心癒される穏やかな空間が演出されるのだと感じました。
そして、エコにも貢献。役目を果たしたと思われた家具たちが、「見て、まだまだ使えるよ!」と秘かにその存在を伝えているよう。

昔ながらの木の机の写真
陳列された様々な本の写真

そしてやはり、ありました!
金魚コーナーが設けられ、ここは「金魚のまち」だということをしっかりアピールしています。

陳列された金魚関連の本の写真

気になる本が何冊かありましたが、足元から「ぜひ読んでみて」と訴えかけるような空気を感じ、即座に一冊の本を購入しました。
お会計にその本を差し出すと、店主とそのご家族の方が私に買った本について親切に色々と教えてくださいました。

大きな書店ではいたって事務的な清算業務も、ここでは運が良ければお店の方との気が置けない会話が楽しめます。
柳町商店街の小さな本屋さんですが、一歩お店へ足を踏み入れるとそこには本を愛するあるじとそれを家族で支える大きな癒しの空間ががありました。
大和郡山市の歴史ある昔ながらの商店街が、若者の自由な発想と周囲の方々の協力とで、一歩一歩ですが変化を遂げつつあることを実感した一日でした。