まちかどレポート390

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

まちかどレポート390 レトロなお医者さん

(まちかどレポーター 後藤)

レトロなお医者さん(平成26年11月27日掲載)

11月23日、大和郡山市本町の国登録有形文化財「杉山小児科医院」の一般公開が行われていましたので、見学に行って来ました。
平成18年11月より毎年、春と秋に一般公開されています。

レトロな外観の建物の写真
レンガに埋め込まれたプレートの写真

杉山小児科医院は、壁に柱を露出させるハーフティンバー様式が特徴的な木造二階建てのレトロな洋風建築です。
こうした近代建築は、奈良県全体を見渡せば奈良女子大学記念館をはじめとして、奈良少年刑務所(奈良監獄)などがありますが、「大和郡山市では珍しい」と平成24年まで現役のお医者さまであった杉山武浩氏はそう仰っていました。
この建物の建築時期は大正10年ごろと思われ、設計者は不詳。また建設は浅沼組と言われていますが、明確な記録はないそうです。
昭和30年ごろ先代が杉山医院として開業、昭和56年に2代の杉山武浩氏が継承し、現在建物は展示会・コンサートや街のイベント時に活用されています。
郡山城下町の中にあっても違和感なく周囲の雰囲気に溶け込んでいるのは、木造建築だからでしょうか。
内部に入るとご覧の通り。

ステンドグラスのある室内の写真
昔ながらの青い体重計の写真
二階に続く階段の写真

体重計は小児用のもので、使用範囲は1キロから20キロまでと書かれていました。
私も経験したアナログな体重計。台の上にそろりと乗ると、体重計の針が目的の目盛りまでスイスイと進んでいくのを子どもの頃、面白く感じていたなあと、思わず回顧ムードに浸ってしまいました。

そして少々急な階段を上がりますと…。

本棚のある豪華な部屋の写真
写真の飾られた部屋の写真

院長室が日の光を浴び、机上に置かれたステンドグラスが上質なプライベート空間の静寂さをいっそう醸し出していました。

一階の天井裏(屋根裏)は現在、ギャラリーとして利用されていますが、ここでは建物の木組みの構造をよく見ることができます。しっかりとした堅固な木材は、専門家の話では米松(べいまつ)と言われています。

建物の中には随所にステンドグラスが配置されていました。
聞くと、杉山氏は趣味でステンドグラス制作をなさっているそう。
また絵も飾られ、これも同じく杉山氏が描いたとのことでした。
医師でありながらも、ステンドグラスや絵画にもその才能を発揮され、多彩な趣味をお持ちです。
そしてただ今、杉山氏がクリスマスまでに仕上げたいと取り組んでおられる作品を私に見せてくださいました。

ステンドグラスのある部屋の写真

4層のクリスマスツリーになる予定で、楽しみです。

展示会や、コンサート、市のイベントにも積極的に建物を開放し活用しておられる活動的な姿を見て、現役時代は大和郡山市の地域医療に尽力され、引退後は自らも楽しみながら地域に貢献されている姿を目にし、刺激を受けました。

また同時に、この洋風な建物が当時、なぜ郡山の地に建築されたのか、その背景も知りたくもなりました。
私たちの財産である貴重な文化財。大切に継承していきたいですね。