まちかどレポート277

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

まちかどレポート277 北向き地蔵はご利益がある?~郡山の地蔵盆~

2012年8月23日~24日撮影(まちかどレポーター 安江)

北向き地蔵はご利益がある?~郡山の地蔵盆~(平成24年9月6日掲載)

地蔵尊と書かれた提灯の下に子どもや大人が集っている写真
赤青白の3色の地に地蔵尊と書かれた提灯のアップになった写真
黒い帽子を被りグレーのシャツを着た男性が紙を見ながら説明している写真

郡山では、8月または7月の23日を中心に賑やかに地蔵盆が行われています。
かつて中世以来、京都・大阪の町や村では、地蔵祠に子どもたちの無病息災を祈願しお供え物をしたとされています。その名残は、郡山にも延々と受け継げられていました。

『北向きの地蔵さんを、7カ所お参りするとご利益がある』って知ってる? と観光ボランティアガイドさんに言われて、「ホントですか?」と後を追ってみました。

8月23日の北向き地蔵尊巡りは、奈良町からスタートし、豆腐町、南台所、西下箕山、大手前、幸町、北郡山、塩町、南鍛冶町、紺屋町の北向き地蔵尊めぐりを行いました。
このあたりには13の北向き地蔵があるということです。

地蔵尊の提灯の下半分が写った写真

奈良町

青色のたくさんの提灯と地蔵尊と書かれた提灯が下がっている写真
地蔵尊と書かれた提灯の傍で微笑む年配男性の写真

 豆腐町

ピンクのスカートに黒いシャツを着た女の子が遊んでいる写真

 西下箕山

青い布が下げられている祠の写真

 大手前

白いシャツの男性が屈んでいる写真

幸町

白いシャツを着た女性と青白格子縞のウェアを着た女性がベンチに腰掛けている写真

北郡山

黒い僧衣を着た僧侶が何かを唱えている写真

塩町

提灯の下のベンチに腰掛けている年配女性とグレーの洋服を着て白い帽子を被っている男性の写真

南鍛冶町

赤白青3色の提灯が下がっていて、その下の溝に映っている写真

紺屋町

 

当日、地域では地蔵盆の準備に提灯をつったり、子どもの名前を書いた提灯を奉納したり、子どもたちのいる家々では、格子や玄関に子どもが書いた絵を書いた行灯が飾られたりしています。
地蔵さんを洗ったり、子どもたちに「からくりおもちゃ」の遊び方を教えたり、数珠繰り法要をしている地域もありました。

横縞のシャツを着た男性とピンク色の洋服を着た女性の写真
黒装束の僧衣を着た僧侶が周りを囲んでいる子どもや大人に話をしている写真

数珠繰り法要の説明を受けるこどもたち

くすんだ青色のシャツを着た女性がお祈りしている写真

無病息災を祈願して

お地蔵さまにも親しみのある名前がありました。
日の丸地蔵(塩町)…お城の石垣に取られないように、国旗掲揚台の下にお地蔵さまを埋めたとか。
両池地蔵(城ホール東・幸町)…名の通り、祠の両方に池があったという。
出世地蔵(北郡山)、夢幻地蔵(南鍜冶町)、延命地蔵(紺屋町)、興道地蔵(大手前)、などなど、人々の願いが込められている名前のお地蔵さまもありました。

中学のプール工事現場や民家の裏庭の井戸から、また川や田んぼから発掘されたお地蔵さまもあり、お地蔵さまは、人々の長い苦節の歴史をつぶさに見、無言の慈悲・慈愛で見守ってきてくれたのでしょう。

塩町の蔵本自治会長は、「お地蔵さまはこどもの守護神、地蔵盆は地域の祭りです。長く受け継がれてきた地蔵盆をこれからも大事に引き継いでいきたい」と話していただきました。

8月の地蔵盆の地蔵尊めぐりで、地域に脈々と息づく古い伝統・歴史、そして大切に守ってきた祖先の知恵と努力を垣間見た思いがしました。
地域の人たちに、昔話や地域様々な取り組みを教わりながら、地蔵尊めぐりができたことが、北向き地蔵さまの速効ご利益!でした。