まちかどレポート91

更新日:2021年03月19日

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まちかどレポート

まちかどレポート091 両面石仏って知っていますか?

(まちかどレポーター 丸山)

両面石仏って知っていますか?(平成22年9月30日掲載)

柳沢文庫の正面から左手奥の井戸の近くに立っている、両面石仏に会いに行きましょう。

威形相の泰山府君像の石像が庭に置かれている写真

威形相の泰山府君像

首がないお地蔵さんが庭に置かれている写真

十王と地蔵が刻まれています

青々とした木々が生い茂る中にある柳沢文庫の門の写真

柳沢文庫前景

この両面石仏は郡山城の法印郭の石垣修復の際に発見されたもので、片面に十王と地蔵が、他面には威形相の泰山府君がほぼ同じ大きさで刻まれており、日本石造美術史上貴重な史料だそうです。
制作されたのは、刻まれている様式から鎌倉時代後期らしいです。
お地蔵さんの頭部がないのは非常に残念ですね。

郡山城の石垣造営にあたっては、奈良近辺の寺杜から伽藍礎石、五輪塔、苦しい時代の庶民の信仰の対象である石仏等が夥しい数調達されました。そして、薬師寺のような有名な寺杜も石の供出を止めてほしいとの嘆願書を提出した事が、「多聞院日記」の天正七年、十六年、十七年に詳細に記載されています。

ちなみに泰山府君とは中国の古代である漢代において郡・国の行政長官をあらわす言葉を道教に転用したのだそうです。
府君は道教の神様であり、日本では、平安時代の昔から厄除け・福禄延寿の神様として慕われており、鬼門を鎮める冥界の神・四明君らと共に泰山に集まる死霊を治め、同時に生者の福禄を司っているのだそうです。また、十王とは冥界にあって死者の罪業を判定する十人の王だそうです。

皆さん、ここ数日めっきり秋めいてきて、絶好の行楽日和になりましたね。
郡山城跡の天主台東面にある「さかさ地蔵」よりは知名度では負けますが、日本の石造美術史上貴重な史料である「両面石仏」を一度見に行きませんか?