○大和郡山市ケアラー支援条例
令和5年2月24日
大和郡山市条例第1号
(目的)
第1条 この条例は、ケアラーの支援に関して基本理念を定め、市の責務並びに保護者、市民等、事業者、関係機関及び学校等の役割を明らかにするとともに、ケアラーの支援に関して基本となる事項を定めることにより、ケアラーが社会から孤立しないよう支え、とりわけ次代の社会を担うヤングケアラーの教育の機会の確保等を図り、もってケアラーの支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、ヤングケアラーをはじめ全てのケアラーが自分らしく、健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 市民等 市内に居住する者、市内に存する事業所又は事務所に勤務する者及び市内に存する学校に在学する者をいう。
(2) ケアラー 市民等のうち、高齢、身体上若しくは精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の必要な援助を提供する者をいう。
(3) ヤングケアラー ケアラーのうち、18歳未満の者をいう。
(4) 事業者 市内で事業活動を行う個人及び法人をいう。
(5) 関係機関 介護、高齢者福祉、障害者及び障害児福祉、児童福祉その他の福祉、医療、保健、教育等に関する業務を行い、当該業務を通じてケアラーに関わる可能性がある機関をいう。
(6) 学校等 学校その他の教育に関する業務を行うものをいう。
(基本理念)
第3条 ケアラーの支援は、家族や身近な人など市民相互の助け合いを尊重しつつも、ヤングケアラーをはじめ全てのケアラーが個人として尊重され、多様な主体の相互の連携及び協力の下、ケアラーとその家族が孤立することのないよう社会全体で支えるように行わなければならない。
2 ヤングケアラーへの支援に当たっては、特に社会において自立的に生きる基礎を培い、次代の社会を担う力を養う重要な年齢であることに鑑み、適切な教育の機会を確保し、かつ、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られるよう十分配慮されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、ケアラーの支援に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 市は、前項の施策を実施するに当たっては、ケアラーに関する情報を集約し、潜在化しているケアラーの存在や支援ニーズ等実態の把握を図るものとする。
3 市は、第1項の施策を実施するに当たっては、ケアラーの意向を尊重するとともに、居場所づくり、食事の支援等、地域における様々な社会資源の活用を図り、保護者、市民等、事業者、関係機関及び学校等と相互に連携を図るものとする。
4 市は、ケアラーが安心して生活できるよう、ケアラーが担っている過度な家事や家族等身近な者の世話等の負担を軽減するための必要な措置を講じるものとする。
5 市は、ヤングケアラーがその福祉を保障される権利を有する年齢であることに鑑み、必要な支援が早期かつ円滑に行われるよう配慮するとともに、教育の機会を確保し、その健やかな成長が図られるよう、その発達段階、生活環境、特性その他の状況に応じて、必要な支援を継続的に行うよう努めるものとする。
6 市は、ケアラーの支援に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(保護者の役割)
第5条 保護者は、元来大人が担うと想定される家事や家族等身近な者の世話等の責任を子どもが負うことによる心身への影響に気付き、配慮できるよう、ヤングケアラーについての理解を深めるとともに、子育ての第一義的責任があることを認識し、子どもの意向を尊重しつつ、年齢や発達に応じた養育に努めるものとする。
2 保護者は、元来大人が担うと想定される家事や家族等身近な者の世話等の責任を子どもに負わせないよう、家庭が抱える困難に応じた支援を求めることができる。
(市民等の役割)
第6条 市民等は、あらゆる機会を通じてケアラーの支援の必要性についての理解と関心を深めるとともに、ケアラーが孤立することのないよう、十分配慮するよう努めるものとする。
2 市民等は、ヤングケアラーの支援の必要性についての理解と関心を深めるとともに、必要な支援が早期かつ円滑に行われるよう、それぞれの立場において十分配慮するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、基本理念に基づき、ケアラーの支援の必要性についての理解を深め、市が実施するケアラーの支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、雇用する従業員がケアラーである可能性があることを認識し、当該従業員がケアラーであると認められるときは、その意向を尊重しつつ、就労とケアとの両立に資する配慮、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(関係機関の役割)
第8条 関係機関は、基本理念に基づき、ケアラーの支援の必要性についての理解を深め、市が実施するケアラーの支援に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。
2 関係機関は、その業務を通じてケアラーに関わる可能性がある立場にあることを認識し、関わりのある者がケアラーであると認められるときは、その意向を尊重しつつ、健康状態及び生活環境を確認し、支援の必要性の把握に努めるものとする。
3 関係機関は、支援を必要とするケアラーに対し、情報の提供、支援を行う機関の案内その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(学校等の役割)
第9条 学校等は、その業務を通じてヤングケアラーに関わる可能性があることを認識し、関わりのある者がヤングケアラーであると認められるときは、その意向を尊重しつつ、教育の機会の確保の状況、健康状態及び生活環境を確認し、支援の必要性の早期の把握に努めるとともに、早期の適切な支援につながるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 学校等は、ヤングケアラーを早期に必要な支援につなげることができるよう、市及び関係機関と連携して、児童及び生徒に必要な周知及び啓発を行い意識の醸成を図るとともに、適切な支援に努めるものとする。
(早期発見)
第10条 市、事業者、関係機関及び学校等は、ケアラーを発見しやすい立場にあることを認識し、ケアラーの早期発見に努めるものとする。
(ケアラーの支援に関する基本方針等)
第11条 市は、ケアラーの支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために、ケアラー及びヤングケアラーの支援に関する基本的な方針を定め、当該方針に基づき具体的な施策を講じるものとする。
(人材の確保及び育成)
第12条 市は、ケアラーの支援に関する施策を実施するための人材の確保に努めるとともに、研修等を行うことにより市、関係機関及び学校等の職員の資質向上を図り、人材の育成に努めるものとする。
(普及啓発)
第13条 市は、広報活動及び啓発活動を通じて、保護者、市民等、事業者、関係機関及び学校等が、ケアラーが置かれている状況及びケアラーの支援等に関する知識を深め、社会全体としてケアラーの支援が推進されるよう必要な施策を講ずるものとする。
(相談支援体制及び連携協力体制の整備)
第14条 市は、子ども、保護者、市民等、事業者、関係機関及び学校等からケアラーに関する総合的な相談に応じる窓口を設置し、必要な人員を配置するものとする。
2 市は、ケアラーに関する相談を多様な手段で受けることができるよう体制を整備するなど、相談しやすい環境づくりを行うものとする。
3 市は、ケアラーの支援について、市、関係機関及び学校等の相互間の緊密な連携協力を図るため、体制を整備するものとする。
4 市は、ヤングケアラーの支援について、関係機関及び学校等と連携して適切な支援に努めるものとする。
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか、ケアラーの支援の推進に必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。