○大和郡山市議会基本条例

平成30年12月7日

大和郡山市条例第22号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 議会及び議員活動の原則(第4条―第7条)

第3章 市民と議会との関係(第8条―第12条)

第4章 行政と議会との関係(第13条―第16条)

第5章 議会運営等(第17条―第22条)

第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第23条―第25条)

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第26条―第28条)

第8章 最高規範性及び条例の見直し等(第29条・第30条)

附則

大和郡山市議会(以下「議会」という。)は日本国憲法に定められた議事機関であり、議会を構成する大和郡山市議会議員(以下「議員」という。)は大和郡山市民による直接選挙によって選ばれた市民の代表である。議会は地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づき、議案の審査、調査及び政策の立案を通じて市政の課題を明らかにし、市政を監視し、条例を制定し、及び大和郡山市の団体意思を確定する権限及び責務を有している。

社会経済情勢が大きく変化し、市民ニーズが多様化する中、議会及び議員は、常に研鑽を積み、十分に議論を尽くし、市民の意思を市政に的確に反映するよう努めなければならない。

このような責務や役割を踏まえ、議会及び議員はこれまで政策立案機能や調査活動の充実に取り組んできたが、より開かれた議会を目指し、より向上心をもって、より良い市政の実現を目指すものである。

大和郡山市の緑豊かな自然を守り、歴史と文化のまちを守るとともに、市民の暮らしを発展させるため、議会として、議員として、どのように貢献できるか、議会と議員の規範とすべく、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき市民に身近な地方政府としての議会活動を実行することにより、市民全体の福祉の向上及び市政の発展とともに、歴史と文化と自然が生きづく活力と潤いのあるまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、市政において、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)と対等の議事機関として、市民の多様な意思を的確に把握し、市政に反映させるため、公平かつ適正な議論を尽くし、地方自治の本旨の実現を目指すものとする。

(基本方針)

第3条 議会は、前条の基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づいた議会活動を行うものとする。

(1) 議案、議会の議決に付される全ての事件(以下「議案等」という。)の審議又は審査による政策決定を行うこと。

(2) 市長等の事務の執行について監視及び評価を行うこと。

(3) 市政の課題について調査研究を行うことにより、独自の政策立案及び政策提言に取り組むこと。

(4) 市民に対して積極的な議会活動の情報公開及び情報発信に努めるとともに、市民が参画しやすい開かれた議会運営に努めること。

(5) 時代の要請にあった議会改革に継続的に取り組むこと。

第2章 議会及び議員活動の原則

(議会活動の原則)

第4条 議会は、市民主権を基礎とする市民の代表機関であることを自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重視するとともに、開かれた議会を目指して活動するものとする。

2 議会は、議員、市長、市民等の多様な意見を把握しながら政策形成に寄与する場となるよう、議会における交流と自由な討論の場の推進に努めるものとする。

3 議会は、傍聴の意欲が高まるよう、市民にわかりやすい視点、方法等で行うものとする。

4 議長は、中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な議会運営を行うものとする。

(議員活動の原則)

第5条 議員は、市政について、市民の意見を把握するとともに、自己の能力を高めるために研鑽し、公平公正かつ的確に判断し、計画、施策及び事業の立案及び提言を行うよう努めるものとする。

(委員会)

第6条 委員会(常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会をいう。以下同じ。)は、議案等の審査、市政に関する課題の調査又はその所管に属する事務に関する調査の充実を図ることにより、その機能が十分に果たされるよう努めるものとする。

2 常任委員会及び特別委員会(予算特別委員会及び決算特別委員会を除く。)は、議会の閉会中においても各所管に属する事務に関する調査を行うよう努めるものとする。

3 委員会は、その審査又は調査に当たって資料等を積極的に公表し、市民に分かりやすい議論を行うよう努めるものとする。

4 委員長は、中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な委員会運営を行うものとする。

5 前各項に定めるもののほか、委員会に関しては、大和郡山市議会委員会条例(昭和50年5月大和郡山市条例第19号)の定めるところによる。

(会派)

第7条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する。

3 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に際して、合意形成に努めるものとする。

4 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者の会議を開催するものとする。

第3章 市民と議会との関係

(会議の公開等)

第8条 議会は、公平かつ公正で透明な議会運営に資するため、本会議及び委員会を原則として公開するものとする。

2 議会は、市民が傍聴しやすい環境の整備に努めるものとする。

(議決責任等)

第9条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、自治体としての意思決定又は政策決定に係る議決をしたときは、市民に対して説明する責務を有する。

2 議会は、議会運営に関し、市民に対して説明する責務を有する。

(広報及び広聴の充実)

第10条 議会は、市民とともに歩み、市民に開かれた議会を実現するため、議会活動に関する情報の積極的な公開及び発信に努めるものとする。

2 議会に関する広報及び広聴の内容は、議会運営委員会において必要な事項を協議するものとし、その在り方等について常に検証し充実を図るものとする。

(議会報告会)

第11条 議会は、必要に応じ、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うことができる。

(請願及び陳情)

第12条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案として取り扱うことができる。

2 請願の審査に当たって必要があると認めるときは、その提出者の意見を聴く機会を設けることができる。

第4章 行政と議会との関係

(監視及び評価等)

第13条 議会は、議案等の審議、検査、監査の請求及び調査の実施並びに一般質問を通じて、市長等の事務の執行について公平公正かつ効率的に行われているかどうかに関して、監視及び評価を行うものとする。

2 議会は、市長等から政策の提案を受けたときは、必要性、効果等について、政策の評価の視点を踏まえ、審議及び審査を行うものとする。

3 議会は、市長等に対する監視、評価及び政策の提言を行うため、市長等との情報の共有に努めるものとする。

4 議会は、市長による専決処分が最小限になるよう、地方自治法第101条第2項及び第3項の規定による臨時会の招集請求権を積極的に行使するものとする。

(政策立案及び提言等)

第14条 議会は、条例の制定及び改廃、市長が提案した議案等の修正、決議並びに請願の採択を通じて、市長等に対し、積極的に政策の立案及び提言を行うものとする。

2 議会は、本会議において可決した決議及び採択した請願が市政に関するものであるときは、市長等に対し、その内容を最大限尊重するよう求めるとともに、当該決議及び請願に関する事後の状況、対応等を速やかに議会に報告するよう求めるものとする。

(市長等による政策の説明等)

第15条 議会は、市長等が議会に政策を提案したときは、審議及び審査を通じて政策水準を高めるため、市長等に対して、次に掲げる事項に関する情報を提供するよう求めることができる。

(1) 政策の背景、目的及び効果

(2) 政策の根拠となる関係法令及び条例

(3) 政策の総合計画における位置付け

(4) 政策の実現のための財源及び将来にわたるコスト計算

(5) 他の地方公共団体の類似する政策との比較

(6) 他の政策との比較検討

(7) 政策への市民の参画の有無及びその内容

2 議会は、市長が議会に予算議案を提出するときは、市長に対して、施策別及び事業別の分かりやすい説明資料を提供するよう求めることができる。

3 議会は、市長が決算議案を提出するときは、市長に対して、議会の評価を行うための政策の進捗及び成果を示す分かりやすい説明資料を提供するよう求めることができる。

4 議会は、前3項に規定するもののほか、市政に係る調査に必要な情報の提供を市長等に対して求めることができる。

(質問)

第16条 議員は、本会議及び委員会において質問するときは、論点の整理を行い、争点を明確にするよう努めなければならない。

2 議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等は、議員の質問に対して、その趣旨を確認するための質問をすることができる。

第5章 議会運営等

(討議による合意形成)

第17条 議会は、議員相互の討議を基本に運営するものとする。

2 議会は、本会議及び委員会において議案等に関して審議し、又は審査して結論を出すときは、必要に応じて議員相互の討議により合意を形成するものとする。

3 議会は、諸課題に関する議員相互の共通認識を図り、政策の検討を行うときは、必要に応じて全議員による討議を行うものとする。

(学識経験者等の活用)

第18条 議会は、議案等の審議の充実、政策形成機能の強化及び政策の評価に資するため、学識経験を有する者等の知見を積極的に活用するものとする。

(調査機関の設置)

第19条 議会は、議会活動及び政策の重要案件に関する調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

(予算の確保)

第20条 議会は、議事機関としての機能を充実するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

(議会改革の継続的な取組)

第21条 議会は、二元代表制における機能強化及び時代に即応した最も効率の良い議会運営を実現するため、継続的な議会改革に取り組むものとする。

2 議会は、市民に分かりやすい議会運営を行うため、議会の会議に関する規則、委員会に関する条例等を継続的に見直すものとする。

3 議会は、前2項の規定による取組を行うため、議員で構成する推進組織を設置することができる。

(危機管理)

第22条 議会は、災害等から市民の生命及び財産を保護するため、日常的に必要な対策を推進するとともに、災害等発生時は行政と必要な協力を行い、その対策に当たるものとする。

2 議会は、前項の対策に当たる場合において、大和郡山市災害対策本部(以下この項において「市本部」という。)が設置されたときは、市本部と連携を図り、災害に対して迅速かつ適切に対応するため、大和郡山市議会災害対策本部(次項において「議会本部」という。)を設置することができる。

3 議会本部の組織及び運営に関し必要な事項については、議長が別に定める。

第6章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修)

第23条 議会は、議員の政策形成、政策立案等に係る能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家や市民等を招いて議員研修を実施するよう努めるものとする。

3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、研修を行わなければならない。

(議会事務局の体制整備)

第24条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、事務局の機能の強化及び組織体制の整備に努めるとともに、政策立案、政策提言等を支援するため、事務局の調査及び法制機能の充実を図るものとする。

(議会図書室)

第25条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理運営するとともに、その機能の充実に努めるものとする。

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第26条 議員は、その地位が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その信託に応えるため、政治倫理の向上と確立に努めなければならない。

2 議員の政治倫理に関しては、別に条例の定めるところによる。

(議員の定数)

第27条 議員の定数は、効率的かつ能率的な議会運営の視点からだけでなく、市民の代表である議会が、市民の意思を市政へ十分に反映させることが可能となるように定められなければならない。

2 議会は、議員の定数の改正に当たっては、市民の意見の聴取及び反映に努めなければならない。

3 議員の定数に関しては、別に条例の定めるところによる。

(議員報酬)

第28条 議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、市民等の客観的な意見を参考に決定するものとし、市長の諮問に応じ議員報酬等の額について審議する大和郡山市特別職報酬等審議会の意見を尊重しなければならない。

2 議員報酬に関しては、別に条例の定めるところによる。

第8章 最高規範性及び条例の見直し等

(最高規範性)

第29条 この条例は、議会における最高規範であり、他の条例、規則、規程等の制定改廃に当たっては、この条例を尊重し、整合を図らなければならない。

2 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。

(条例の見直し)

第30条 議会は、常に市民の意見、社会情勢その他の状況の変化を勘案し、議会運営に係る不断の評価及び改善を行い、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

大和郡山市議会基本条例

平成30年12月7日 条例第22号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成30年12月7日 条例第22号